生化学工業は25年3月期大幅増益・増配予想

2024年5月15日 10:02

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 生化学工業<4548>(東証プライム)は5月13日の取引時間終了後に24年3月期連結業績を発表した。売上面は堅調だったが、棚卸資産の評価減、生産体制強化に向けた設備メンテナンス前倒しなどの影響により、各利益は前回予想を下回り大幅営業・経常減益となった。25年3月期はロイヤリティーの増加などにより大幅増益・増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。なお5月14日には、米国で開発中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の生物製剤承認申請が米国食品医薬局(FDA)に受理されたとリリースしている。株価は年初来安値圏だが、25年3月期予想を好感して急反発している。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。

■24年3月期は大幅営業・経常減益、25年3月期は大幅増益・増配予想

 24年3月期の連結業績は、売上高が23年3月期比8.2%増の362億13百万円、営業利益が79.5%減の4億33百万円、経常利益が44.9%減の16億91百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.2%減の21億86百万円だった。配当は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。配当性向は64.9%となる。

 売上面は国内医薬品や海外医薬品の販売数量増などで堅調だったが、棚卸資産の評価減、生産体制強化に向けた設備メンテナンス前倒しなどの影響により、各利益は前回予想を下回り大幅営業・経常減益となった。なお研究開発費は5.9%減の74億84百万円だった。営業外収益では為替差益が増加(前期は4億79百万円、当期は7億円)した。親会社株主帰属当期純利益については繰延税金資産計上により小幅減益だった。

 医薬品事業は売上高が14.2%増の259億42百万円、営業利益が3億74百万円の損失(23年3月期は1億43百万円の損失)だった。売上高の内訳は国内医薬品が7.3%増の121億円、海外医薬品が17.9%増の100億59百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が5.7%増の30億83百万円、ロイヤリティーが6億99百万円だった。

 国内医薬品は、薬価引き下げの影響があったものの、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品は、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少したものの、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが保険償還制度変更により現地販売本数が増加、中国向けアルツが包装資材変更に伴って出荷がなかった前期の反動増や次期に予定していた製品出荷の前倒しにより大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が増加し、円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が4.3%減の102億71百万円、営業利益が64.2%減の8億07百万円だった。国内は前期並みだったが、海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が96億61百万円、営業利益が12億98百万円、経常利益が19億59百万円、第2四半期は売上高が84億00百万円、営業利益が1億84百万円、経常利益が3億68百万円、第3四半期は売上高が93億23百万円、営業利益が8億46百万円、経常利益が7億22百万円、第4四半期は売上高が88億29百万円、営業利益が18億95百万円の損失、経常利益が13億58百万円の損失だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 25年3月期の連結業績予想は、売上高が24年3月期比10.5%増の400億円、営業利益が9.1倍の39億50百万円、経常利益が2.7倍の45億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が57.8%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比4円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は47.4%となる。

 大幅増益・増配予想としている。国内薬価引き下げの影響、一部の海外医薬品の出荷調整の影響などにより医薬品の販売は減少するが、ロイヤリティー収入の増加が牽引する見込みだ。研究開発費の計画は7.8%減の69億円としている。なお前期の繰延税金資産計上の反動で税金費用が増加する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は急反発

 株価は年初来安値圏だが、25年3月期予想を好感して急反発している。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。5月14日の終値は784円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円23銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1324円82銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約445億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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