火災保険13年連続赤字⇔値上げの対応策を三井住友海上火災保険に見る

2024年2月28日 09:46

印刷

 損害保険業界では主力の「火災保険」分野で、13年連続の赤字が続いている。幾つかの要因が指摘される。周知の通り地震保険は通常、火災保険に付帯される(地震被害だけを担保する1年間の短期少額保険もあるが・・・)。

【こちらも】ペットビジネスのエコートレーディングを書きながら、愛猫を怒鳴りつけた理由

 「地震大国日本」とされるように、最近の能登半島地震に見られるような大きな損害を伴う地震が相次いで起こっている。異常気象による自然災害が多発している。「ゲリラ豪雨」による災害の頻発などに象徴的だ。

 13年連続の赤字は、損保業界に保険料の見直しを余儀なくしている。保険料引き上げは、契約者(法人・個人)の負担増につながる。損保各社としては保険料見直しと並行して、契約者(顧客)の納得を得る為の施策が不可欠になる。

 表現は妥当でないかもしれないが、生き残り・勝ち残りを賭して各社は競い合うように策に打っている。そんな現状に接する度に、「損保事業も容易ではないな」と思う。

 例えば手元に、三井住友海上火災が2022年8月29日に発信した、『【国内初】中小企業向け震度インデックス型定額払商品の販売開始』と銘打ったリリースがある。「震度6弱以上の大規模地震が発生した時に、速やかに当座の資金を補償。早期復旧・事業継続の支援を企図した保険。中小企業向けに損害調査や保険金請求を必要としない、インデックス型地震保険を開発した」が主たる内容。

 インデックス型地震保険は、世界的に見てもレアケース。あらかじめ定めた基準(指標)を満たした場合に、損害状況を確認することなく、定額の保険金が支払われる。同社の場合でも企業地震保険では震度6弱以上の地震の被害に対して、保険金の支払いまでは平均200日程度を通常型では要していた。

 インデックス型商品では震度6弱以上が対象となるが、観測震度に関しては気象庁が発表する「震源・震度に関する情報の市町村単位の震度情報」が活用される。震度6弱以上の地震では相応の被害が想定されるが、具体的にどんな枠組みの「契約」「保険金額」「補償額」となるのか。

<主契約>: 1口=1万円以下で担保する粗利益日額以下:31口以上/1000万円、21口以上30口以下/500万円、11口以上20口以下/300万円、10口以下/100万円。

 それぞれについて観測震度別に「7、100%」「6強、30%」「6弱、10%」が補償される。

 ちなみに当座資金とは、「社員を緊急避難させる為の交通費用」「建物・設備の被害状況を調べる費用」「社員の緊急出社対応費用(残業代など)」「営業を継続する為に緊急で代替となる原料や商品の購入費用」等。

 読者諸氏は自社が地震被害を受けた際の「当座資金」の補償体制が整えられているかを、チェックしておくべきだろう・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事