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「spend a penny」「spanner in the works」の意味は? イギリス英語のスラング
言葉は時とともに変化し、新しい意味を持つようになることがある。今回は、そのような変化をたどった2つのスラング、「spanner in the works」と「spend a penny」を紹介しよう。これらはもともと文字通りの意味から始まったフレーズだが、時代を経るうちにまったく異なる意味で使用されるに至った。
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■Spanner in the works
「throw a spanner in the works」という形でよく使われるが、これで「(物事の進行を)妨害する、邪魔する」という意味になる。
これは視覚的にイメージしやすいフレーズではないだろうか。動いている機械の中にspanner(スパナ)を投げ入れるとどうなるだろうか?機械は壊れて止まってしまうだろう。
実際、文字通りの行動がこのフレーズの由来となっているようだ。工場の機械化が進み始めた時代、機械によって自分たちの仕事が奪われることを恐れた労働者たちが、故意に機械の中に工具を投げ入れて壊すことがあったと言われている。わざと仕事を滞らせて、機械化に抗議していたわけだ。
これが比喩的な意味へと変化し、「throw a spanner in the works」というフレーズで、「ある出来事や行動が、進行中の物事や計画を妨げること」を意味するようになった。
なお、アメリカでも昔から似たような表現が使われていたが、アメリカでは「a wrench in the works」となる。日本語では「スパナ」も「レンチ」も使うが、同じものをイギリスでは「spanner」、アメリカでは「wrench」と呼んでいるからだ。
The client's last-minute changes threw a spanner in the works.
(クライアントの直前の変更が予想外の障害となってしまった)
■Spend a penny
文字通りの意味は「1ペニーを使う」だが、もちろんそんな意味ではない。これで「トイレに行く」という意味になる。
1ペニーとトイレにどんな関係があるのかと思ってしまうが、これは昔のイギリスの公衆トイレが関係している。19世紀なかばに設置された公衆トイレには、ドアの施錠に1ペニーが必要だった。有料トイレと言うとわかりやすいが、鍵の部分に1ペニーコインを嵌めて施錠する仕組みのトイレだったそうだ。
このことからもわかるように、最初、このフレーズは個室で用を足す女性におもに使用されていた。男性の小便器は個室ではないから1ペニーを使用する必要もなく、この表現もあまり関係なかったようである。
なお、上記の仕組みの公衆トイレができたのは19世紀なかばだが、このフレーズが「トイレに行く」という意味で使われるようになったのは、もっとずっと後、20世紀もなかばになってからだ。遠回しに「トイレに行く」、「用を足す」ということを伝える婉曲表現として女性を中心に使用されていたが、時代とともにこの表現は一般化し、いつしか男女問わず使われるようになった。
During the intermission, many ladies queued to spend a penny.
(休憩時間中、多くの女性がトイレに行くために並びました)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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