関連記事
原油先物が激しい値動き! アンゴラが台風の目に!?
●アンゴラがOPEC脱退を表明
アフリカ南部のアンゴラが21日、OPEC(石油輸出国機構)脱退を表明したことで、原油先物価格は約2%下落した。その翌22日にはアンゴラ増産への懸念から、3%上昇している。
【こちらも】原油だけではない! 紅海動乱が与える市場への影響
ロイター通信によると、アンゴラのアゼベド石油相は「OPECに留まっても何の利益も得られない」と説明し、ロウレンソ大統領も脱退を承認している。
ロシアなどの非加盟国でつくるOPECプラスは、11月に追加減産を目指していたが、アンゴラを含むアフリカの一部の国が反対しており、足並みが揃わなかった。
アンゴラが台風の目となり、原油価格にも大きな影響を与えるのか?
●アンゴラとは?
アンゴラ共和国は、アフリカの中南部に位置し、アフリカ大陸では7位の国土面積を誇る。ポルトガルの植民地だったが、1961年の独立戦争が勃発し、1975年に独立を認めさせた。
その後、2002年まで内戦が続いていた。原油やダイアモンドなどの資源が豊富であるが、輸出の90%を石油に頼っているという課題もある。2007年からOPECに加盟している。
アンゴラの2022年の石油生産量は世界17位であり、2位のサウジアラビアの約10分の1だ。OPECから日量約110万バレルで割り当てられているが、生産量はそれを満たしていない。
●影響は軽微との意見も?
アンゴラがOPECに占めるシェアは決して高くなく、影響は軽微なものに留まるという楽観的な専門家の意見もある。
アンゴラの生産能力を考えれば、OPECを脱退したところですぐに増産できるわけでない。
問題は、アンゴラが主張するようにOPEC体制が加盟国にとって利益があるのかという声が出始めていることで、OPEC体制への信頼が揺らいでいることが、最も市場で不安視されていることだろう。
OPEC脱退報道の直後、中国との関係強化により、投資拡大を期待するという報道もあった。
OPECに加入しなくても、投資や援助が得られるのなら第2、第3のアンゴラのような脱退国が続出することも考えられる。
そうなれば、価格維持を目的とした減産というタガが外れ、各国が自由に生産枠を決めてしまえば、原油価格に大きな影響を与えるのは想像に難くない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク