デンキウナギの放電で周囲の生物に遺伝子の組み換え発生か 名大ら

2023年12月9日 09:51

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今回の研究のイメージ。(画像: 名古屋大学の報道発表資料より)

今回の研究のイメージ。(画像: 名古屋大学の報道発表資料より)[写真拡大]

 名古屋大学は5日、京都大学との共同研究により、デンキウナギの放電によって周囲の生物の細胞に環境中のDNAが取り込まれ、遺伝子の組み換えが起こる可能性があることを突き止めたと発表した。

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 研究グループによれば、デンキウナギ等の発電生物の放電が、自然界における遺伝子組み換えの1つの要因になっている可能性があるという。

■デンキウナギとは?

 デンキウナギは、アマゾン川流域に生息する体長最大で2.5mほどにもなる発電魚だ。放電でエサを攻撃し捕食する。

 その放電能力は860ボルトにも達し、地球上の発電生物として最大となる。頭部を+、尾部を-に帯電させその電位差で放電する。

 一方、細胞生物学にはエレクトロポレーションと呼ばれる手法がある。パルス電流を使って細胞にDNAを入れる手法だ。細胞に入ったDNAはその細胞の遺伝子に組み込まれる可能性がある。

 研究グループは、このエレクトロポレーションにヒントを得て、デンキウナギの放電(パルス電流)によって周囲の生物の細胞に環境中のDNAが取り込まれ、遺伝子の組み換えが起こる可能性があるのではないかと考えた。

 なお、水、大気、土壌等の環境中には、生物の死体、排泄物等に由来するDNAが含まれている。

■放電で周囲の生物に遺伝子の組み換えが発生か

 研究グループは、デンキウナギと同じ水槽にDNA溶液とゼブラフィッシュの稚魚を入れた通電性の容器を沈め、デンキウナギに放電させた。すると、約5%のゼブラフィッシュ稚魚で細胞へのDNAの取り込みが確認された。

 このようにしてゼブラフィッシュの稚魚の細胞に取り込まれたDNAは、そのまま消えてしまう可能性もあるが、稚魚の遺伝子に組み込まれる可能性もある。つまり遺伝子の組み換えが起こる可能性がある。

 今回の研究成果は、あくまでも管理された研究室におけるものであり、多様な生物が生息し、さまざまな環境的な要因が存在する自然界において、直ちに妥当するものとは言えない。だが研究グループでは、デンキウナギの放電が、自然界における遺伝子の組み換えを引き起こす1つの要因となりうることを示すものであるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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