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ライドシェア導入で期待できることとは?
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●ライドシェア導入検討へ
岸田文雄首相は10月23日に行われた臨時国会の所信表明演説で、一般ドライバーが自家用車に有料で利用者を乗せるライドシェアの導入検討を表明した。
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26日の参院の代表質問でも「地方交通の担い手などの課題に取り組み、早急に方向性を出す」としており、議論が活発化する気配である。
日本の法律では白ナンバーの自家用車で、乗客を有償輸送するいわゆる“白タク”行為を禁止している。
タクシー運転手の減少や過疎地のバス運転手不足による路線の廃止などの課題解消に対して切り札となり、新たな経済効果が期待できるのだろうか?
●世界のライドシェア状況
2023年現在、ライドシェア事業者がサービスを展開している国は100カ国以上あると言われている。
米国ではUberが始めて、2015年頃から一般化されている。UberとLyftの2社が、車に乗せたい人と乗りたい人をマッチングするアプリの大手だ。
タクシーや公共交通機関に代わる新たな利用手段として、定着しつつある。
一方で、海外では悪質なドライバーによる強盗や殺人、性犯罪、飲酒運転なども問題となっており、米国の一部の州やドイツなど禁止している国もある。
●ハードルは高い?
ライドシェアにはタクシー業界などから、競争の公平さや安全性を懸念する声が出ており、反対の声もある。タクシーのマッチング充実や規制緩和の方を優先すべきという意見もある。
一方で、コロナ禍で離職が相次ぎ、タクシーの運転手は約2割減少している。バスの運転手不足も深刻で、路線廃止が相次いでいるという問題も無視できない。
インバウンドは復活の兆しを見せているが、タクシーがつかまらないという外国人観光客の不満もあり、供給不足は深刻である。オーバーツーリズム対策にも期待がかかる。
ライドシェア解禁については、菅前首相も前向きだった。タクシーの運転手は、コロナ前から高齢化で減少傾向にあり、今後もその傾向は変わらない。バスなどの公共交通機関も同様である。
少々古い資料となるが、新経済連盟が2015年に出した資料によると、経済効果は3.8兆円と試算されていた。
ライドシェア解禁は、学生や主婦、サラリーマンの副業など雇用の創出にもつながる期待もある。
もちろん、悪質なドライバーや質の悪いドライバーの排除、事故時の賠償責任などの法整備など課題も多いが、導入を検討せざるを得ない状況ではあるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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