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アイドマHD、2024年8月期からサービスコンセプトを大きく変更 顧客基盤拡大による受注率・客単価の向上を図る[写真拡大]
目次
三浦陽平氏:本日は大変貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございます。アイドマ・ホールディングスの代表取締役の三浦です。よろしくお願いします。
それでは、2023年8月期の通期決算説明を行います。本日は大きく4点ほどご説明します。1点目が会社の概要、2点目が業績のご報告と来期の業績の見通し、3点目が中期戦略、4点目が来期の成長戦略となります。
会社概要
会社概要については、一部変更があった点のみご説明します。今年8月に、創業から今まで長らく本社としていた東京の池袋から目黒へ移転しました。面積は約800坪となり、現状社員は300名程度ですが、今後の成長にも十分対応できるかたちとなっています。なお、坪単価については、旧オフィスより抑えています。
経営戦略
最初に当社の経営戦略の内容を簡単に共有させていただきます。これから先の日本の労働人口は、2030年までに約700万人程度減少し、2030年以降も加速度的に減少すると言われています。さらに日本のみならず世界中の先進国で人口が減っていくトレンドになるため、経営戦略として、まずは国内の人口減少下において発生するさまざまな課題を解決する事業を展開し、その後、グローバルに事業展開をしていこうと考えています。
700万人の人口が減ると仮定し、1人あたり400万円ぐらいが平均年収とすると、2030年までに約30兆円の労働市場がなくなると考えています。この部分をしっかりとビジネスチャンスにすれば、非常に大きなマーケットが生まれると考えています。
今後の事業展開
具体的には、ご覧のような事業展開のイメージを持っており、企業側からみると、2つの課題があると整理しています。
1つは、労働人口減少に伴い、人材の採用が困難となっていきます。もう1つは、経営者の高齢化により事業承継等、経営面での課題も多く発生します。
これらに対して、業務支援と経営支援の2軸で、企業の課題を解決していこうと考えています。具体的には、テクノロジーとクラウドワーカーを中心とした人的リソースを提供してソリューションを行います。
企業の課題を解決するにあたって、実際にサポートしてもらう多くの働き手が必要となります。当社が自社で社員の採用を積極的に増やしていくというよりも、潜在的な働き手の方と協働することを考えています。
働く場所や時間に制約があったり、働きたいけれどもスキルや知識がなく希望の職種になかなか就くことができないという方たちに対して、就労支援や継続教育支援を行うことで、潜在的な働き手を顕在化させていき、そういった方たちと当社が協働し、企業と繋げることで、企業が抱える課題の解決を支援し、働き手にとっても価値のあるワークインフラカンパニーになっていきます。
2023年8月期 事業トピック
次に、業績ハイライトからご説明します。
業績のハイライトに入る前に4点ほど、事業の振り返りや2023年8月期の重要なトピックをご説明します。今回は2023年8月期の新規の取り組みと、既存の事業を強化させた取り組みにおいて、主立ったものを記載しました。
2023年8月期 新規の取り組み
2023年8月期の主な新規の取り組みに関しては、3点あります。
1つ目が、企業の業務支援プラットフォームとして、「メンバーズ」というサービスを開発、リリースしました。具体的には、チャットでのコミュニケーションをメイン機能としつつも、タスク管理や電子契約の機能、さらに働き手の勤怠管理などが「メンバーズ」のプラットフォーム上ですべて実現できます。
当社の社内コミュニケーションも、今はすべて「メンバーズ」に切り替えて運用しています。生成AIなどの機能も「メンバーズ」の中に入っており、これらを活用することによって、自社はもちろんのこと、お客さまの業務効率化も支援できるようなインフラにしていこうと考えています。
現状としては、無料でご利用いただけるようにしており、本格リリースして約1年となりますが、すでにご利用いただいている企業は1万5,000社、IDに関しては4万IDを超えています。今後もご利用企業、ご利用者を拡充し、メンバーズを活用して、業務支援を実施することのできるプラットフォームにしていきます。
次に、「クラプロ」という名称の新たなサービスを立ち上げました。「クラプロ」はクラウドプロダクションの略となります。
クラプロではWebマーケティング、デザイン、開発などができる150名程度のクラウドワーカーを束ねており、その方たちをご利用企業さまがタイムチャージで活用できるようなビジネスモデルを提供しています。
具体的には、月に1名採用いただくよりも安い価格にて、約50時間から80時間程度のリソースを活用できます。その際の、クラウドワーカーとのディレクションは当社にて実施します。「クラプロ」のチームの社員がディレクターとして入るため、企業は当社の社員とやりとりをすれば、マーケティングや製作などができる仕組みです。これまでの人を採用しなくても営業の実施ができる営業支援サービスのWebマーケティングやクリエイティブバージョンだと思っていただくとイメージが近いと思います。
現在は積極的に新規開拓を行うというよりも、既存の営業支援サービスや、人材支援サービスのお客さまのアップセル・クロスセルでご発注いただいており、実際の支援社数は200社超となります。
3つ目に、我々は「キーパーソンズ」という、決裁者にご登録いただいているプラットフォームを作っています。これ以外にも、「CXOバンク」というM&Aを行ったアプリケーションや「COLABO」というアプリケーションなど、それぞれを合算すると、現在1万6,000人ほどの決裁者にご登録いただいています。これを直近で3万人以上に増やしていこうと考えています。
この規模の決裁者の登録者がいらっしゃると、プラットフォームの中で決裁者同士の商談や提携などが多く発生し、十分にビジネスとしての価値を出すことができます。このようなプラットフォーム事業もリリースし、展開が始まっています。
2023年8月期 既存事業強化の取り組み
次に、営業支援サービスと人材支援サービスの付加価値向上の主な取り組みを4点ほどお伝えします。
1つ目がインソーシング事業の取り組みについてです。
通常当社ではお客さまの代わりに、当社および当社のクラウドワーカーで構成されるチームにてアプローチを行うという、BPOに近いかたちでの営業支援を行っており、その際のドキュメントなどの仕組みも合わせて提供しています。インソーシング事業は当社ではアプローチを実施せず、お客さまの社内にクラウドワーカーを活用したアプローチチームを立ち上げるというサービスになります。
このサービスをリリースしたことにより、営業支援サービスの契約が終了した後に、内製化をする提案ができるようになったり、アウトソーシングは検討されていない企業さまに対しても、内製化の取り組みを提案できるようになりました。
リリース後、大手企業にご導入いただくなど、インソーシングの取り組みは現在比較的順調に進行しています。まだ業績に大きなインパクトを与える規模まで至っていないものの、我々のこれまでのアウトソーシング型では対応できなかった領域のソリューションとして広がりを出せるようになっています。
2つ目として、インテントタグ、ニーズタグというものを、自分たちの使っている「セールスクラウド」という営業DXツールの中に組み込みました。簡単にご説明させていただくと、我々はさまざまな企業の代わりにアプローチを行っていますが、それらの活動の中で、例えば採用や営業に課題があるというニーズを探知できれば、それらのニーズをタグ化して、我々が持っている企業データベースに登録しています。
今後、かなり重要な機能になっていくため、サンプルで少し画面共有をしてご説明させていただければと思います。ご覧のようなかたちで、我々が持っている企業のデータベースの社数があります。この中で、ニーズタグを選択すると、例えばPR・広告宣伝ニーズがある会社が表示されます。
これを直近の、例えば6月から10月の本日までの間にニーズがあった会社に絞ったり、3回以上ニーズが合った企業、というかたちで回数で絞ることも可能です。
インテントタグは、会社がどのようなキーワードで検索しているのか、という点を把握し、それらをタグ化したものです。実は、当社はそのデータを保有している上場企業と提携し、検索キーワードからアプローチリストを作れるインテントタグという機能を開発しました。インテントタグがあることによって、今まで一度も接点がない企業に対しても、所定のキーワードを検索した企業だけをリストアップしてアプローチすることができるようになります。
まずは、このニーズタグとインテントタグを自社で使ってアポイントを取得しているのですが、通常のアポイントと比べると大きくアポイントの取得率が上がっています。これらをお客さまにも展開していくことにより、これからさらに大きな価値を生み出していこうと考えています。
3つ目として、カスタマービューア―というかたちで、スマートフォンから瞬時に、国内のあらゆる企業の情報や企業とのやり取りの履歴を見ることができるビューア―機能の開発を行っています。
4つ目として、スポットで仕事がしたい方向けに「タレントナビ」というクラウドソーシングサイトを立ち上げました。リリースしてまだ半年程度ですが、約3万人のクラウドワーカーに、ご登録いただいています。具体的な利用方法としてはまず企業がプロジェクトを立ち上げ、その後、登録しているクラウドワーカーが応募できる仕組となります。
例えば企業が「今日と明日で記事を100本書いてほしい」のような、短期的なスポットプロジェクトを上げると、登録者の中から業務を実施したい人が応募してくるという仕組みになります。このようなスポット案件に対応したクラウドソーシングのビジネスモデルも、既存事業の付加価値として新たに始めました。
ここまで、2023年8月期の主な新規の取り組み、既存事業強化の取り組みについて最初にお伝えさせていただきました。
2023年8月期 アクション計画進捗
次に、2023年8月期のアクション計画の進捗状況をお伝えします。まず、取り組むべきアクション計画が3つほどありました。
1つ目が商談機会を大幅に増やしていくということ、2つ目が受注率を上げていくこと、3つ目にコア業務をクラウドワーカーに移管するというものです。この3つに関して、1つ目と3つ目はほぼ計画どおりに進捗することができました。
商談機会の増加については、YonYで約25パーセントの増加を実現することができました。さらに、来期以降につながるアポイントを増やしていくような施策も動き出しており、問題なく継続的に成長できると考えています。
コア業務をクラウドワーカーに移管する取り組みに関しても、業務委託のクラウドワーカーの方はYonYで500人ほど増えており、新しく始めたフルリモートで働きたい方を完全在宅勤務ができる正社員として採用する取り組みもスタートして、短期間で0人から20人ほど採用が成功し、活動がスタートしています。引き続き、来期のトピックとしてもこの取り組みを重要視しながら進めていきます。
1点だけ、受注率の改善の取り組みに関しては、今期は今までよりも高くしていこうと動いていたものの、結果的には受注率が約1パーセント弱低下してしまいました。
第4四半期においては受注率の低下要因は解消され、過去を上回る水準での受注率が見える状況となっていますが、今期中にそれぞれ取り組んだ施策が、想定ほどうまくいかなかったものや、うまく機能しなかったものがあり、年間で見たときには、受注率がやや低下してしまいました。
2023年8月期 M&Aトピック[1/2]
2023年8月期において、マイノリティ投資含め、M&Aにも複数取り組みましたが、直近でProud Partnersという会社のM&Aを資本提携というかたちで行いましたので、簡単にご説明します。
この会社は建設業や飲食業、サービス業などのさまざまな企業に海外の技能実習生を誘致、紹介することを行っており、建設業においては日本国内でトップクラスの実績を持っている会社です。
当社のお客さまでも、特に人材支援のお客さまですと、BtoBではない業種もいらっしゃいますが、サービススタッフがどうしても足りないという場合、我々が実際にソリューションとして提供できるものが今まではありませんでした。しかし、Proud Partners社と協業することにより、在宅ではなくリアルにサービスを提供する人材ソリューションも提供できる状態を作ることができるため、資本提携を行い双方でシナジーを出していこうという動きを今後進めていきます。
通期業績サマリー
業績のサマリーに移ります。売上と利益と受注数ですが、売上に関しては前年対比で約45パーセント成長しており、ほぼ当初業績予想どおりの進捗になっています。経常利益も約40パーセント成長し、当初の業績予想を上回るかたちで着地しています。
受注数に関しては、第1四半期と第3四半期で営業支援の受注数が低下したことにより、当初の業績予想比の受注件数からは微減しました。人材支援においては、ほぼ当初の業績予想どおりに受注件数は着地し、順調に推移しています。第4四半期については、営業支援に関しては受注件数が過去最高になり、進行期においては、元の成長曲線に戻ってきている状況です。
主要KPI推移
主要なKPIはご覧の表どおりの推移になっています。それぞれ過去最高で、当然前期比も上回る数字で着地しています。
業績サマリー(対前期比)
こちらは、前期比較でそれぞれ数字を記載しています。
業績サマリー(業績予想比)
業績予測に対する進捗については、表のとおりになります。実績と予測はそれぞれ、ほぼ相違ないかたちで進捗しています。
第4四半期主要KPI推移(売上高)
続いて、第4四半期の業績ハイライトも、通期と別にご説明します。売上高に関しては、第3四半期の営業支援の受注件数の減少が影響して、QonQで見ると、微増にとどまっています。ただし、第4四半期の受注が回復したことにより、進行期の第1四半期からは、QonQの売上高成長は過去水準で増加することを見込んでいます。
第4四半期主要KPI推移(経常利益・経常利益率)
経常利益に関しては、毎期第4四半期に将来に向けた成長投資を実施していますが、今年も第4四半期にさまざまな成長投資を行いました。最終的な第4四半期の経常利益率は8.5パーセント、2億円というかたちで推移しましたが、これは当初想定どおりになります。
営業支援サービスの受注率の改善
続いて受注件数ですが、営業支援の受注率が重要だと考えていますので、こちらのページでもう少し詳細にご説明します。
こちらは第3四半期時にご説明したスライドと近いのですが、第1四半期と第2四半期と第3四半期で、それぞれ受注率が低下した問題についてと、解決できたポイント、加えて第3四半期に低下した問題と解決できたポイントを記載しています。今回は第3四半期から第4四半期にかけてどのようなことを行い、現在どのようなかたちで推移しているのかを簡単にご説明します。
第3四半期の受注率の低下は電話営業からの商談における受注率の低下が要因でした。商談件数を増やすために電話営業を実施していますが、その電話営業の中で、いろいろなリストを作ってアプローチを行っています。
第3四半期においては、当社が過去に商談の機会をいただいたものの、キャンセルになってしまったリストをデータ化し、そのデータに対してアプローチを行いました。キャンセル先のアポイントは、一度過去にお客さまがキャンセルにされているため、再度アポイントを取得できる率が想定以上に高くなり、アポイント全体の比率の中で大きな配分を占めるようになりました。しかし、当該リストの受注率は低く、結果として全体の受注率を大きく押し下げる結果となりました。
受注率の低下要因を分析する中で、電話営業のリスト単位での受注率を詳細に測定しなおした結果、電話営業のリスト単位で受注率の違いがあることがわかりました。
第3四半期においては、受注率が相対的に低いリストからのアポイント取得割合が多かったため受注率が低下する結果となりましたが、今後は同様の事象が生じないために、現在はデータマネジメント課というリストマネジメント組織を作りました。データマネジメント課では、アポイントが取得できた商談に対して受注率がどうなのかということをすべてデータとして取得し、それを再びアポイントを取得するマーケティングのチームにフィードバックを戻すというかたちを取っています。
お客さまとの入口と出口を完全にデータでマネジメントするチームを作って体制を整備することで、受注率が低下することがないようにコントロールできるようになりました。
結論として、第3四半期に生じた問題を解決することで、受注率の再現性が担保できるかたちになり、順調に推移し第4四半期は過去水準の10.5パーセントの受注率を上回る受注率で着地しました。進行期の第1四半期も、当該チームがしっかりとワークしており、受注率も堅調に推移しているという状況です。
第4四半期主要KPI推移(受注件数)
主要KPIの受注件数の推移は、ご覧のとおりの数字となっています。
直前四半期比較
直近の四半期の比較に関しても、売上が微増に留まってしまっている要因は、第3四半期の受注件数の低下です。第4四半期の受注件数は増加しましたが、売上高に与える影響は第4四半期というよりも次の第1四半期を含めて今期業績にヒットしてくるような状況です。
4Qの主な販管費増加要因(3Q vs 4Q)
第3四半期から第4四半期の販管費の増加要因について、主要なものを一部抜粋しました。こちらも記載のとおりのため、ご覧ください。
前年同期比比較(会計期間)
前年同期比もスライドに記載のとおりです。
2024年8月期通期 業績見通し
通期の業績見通しをご説明します。売上は110億円の計画で組んでいます。営業利益は22パーセントの営業利益率で24億円を想定しています。
売上高の裏付けとしては、当社のサービスは13ヵ月の契約が主であることから2023年8月期に受注したものの、まだ売上が計上されていないものがベースとしてあります。さらに、今期の受注の進捗によりプラスオンされていきます。それらを合算して110億円として組んでいます。
進行中の今期の受注率は、すでに回復して上昇傾向に入っていますが、今回は2023年8月期通期の受注率である10パーセント弱をベースとした受注率で進行した場合のやや保守的なシナリオで組んでいます。
仮に、もしこれが過去水準の10.5パーセントで推移、もしくはそれ以上に改善した場合には、計画よりも受注件数が増え、売上も上がるため、こちらがアップサイドとして入ってくるかたちです。
今回の売上高計画については保守的に組み、その中で投資や先行投資も積極的に行い、将来の成長基盤を作っていく方向で進めています。
業績報告まとめ
業績報告のまとめとして、第4四半期、通期の業績見通しをそれぞれ記載しました。
サービス提供会社から、採用に代わる外部リソースを提供する会社に
次に中期戦略についてです。すでにかなり大きな方向転換を始めており、今後さらに積極的に推進していくため、こちらも1点お伝えします。
まず、当社のメインのお客さまは中小企業となります。さまざまな企業とお取引する中で、マーケットの状況としてお客さまが強く感じられていることは、人材採用や定着における課題が日増しに大きくなっています。
当社もデータを調べてみると、単純に労働人口が減少して、採用できる母数が減ってしまっているのみならず、そもそもの中小企業の求人倍率が非常に高い状態で推移しています。
新型コロナウィルス感染拡大の際でも3.4倍程度でしたが、実は直近では5.28倍です。つまり5人の人に内定を出して1人来ていただける、という程度に採用が難しくなっている状態です。
実は、従業員が300人以上の会社の場合は求人倍率が1倍を割っているため、1人に内定を出せばほぼ1人に来てもらえる状態になっています。しかし、中小企業に関しては、非常に採用が厳しい状態です。
これから労働人口が減れば減るほど、今よりも尚、中小企業の求人倍率はどんどん上がっていく可能性が高いです。
同時に離職率についても、3年以内の新卒社員の離職率は、事業規模が5人未満など小さくなるにつれてどんどん上がっています。例えば事業規模が30人未満の場合には、50パーセント以上が離職してしまう状態です。つまり、新卒で入った社員でも3年以内には半分いなくなってしまうことになるため、努力して採用を行っても、結果として多くが辞めてしまうという状況が起きています。
当社は、もともと労働人口減少のテーマから、自社の社員採用以外に外部を活用し、会社を伸ばしていく、という選択肢を取り入れるべきだと考えていて、当社自体もその考えで会社を伸ばしてきています。
そこで、当社はこれから「採用」と代替できる、「外部リソース」を提供する会社になろうと考えています。営業支援サービスや人材支援サービスといったサービスを提供するのではなく、あらゆる外部リソースを提供していく会社に生まれ変わっていこうとサービスのコンセプトを変化する動きをとっています。
具体的な外部リソース提供型事業の詳細[1/2]
具体的には、1社に対して1つのサービスを提供するのではなく、1社に対して複数の外部リソースを提供するかたちを作ろうと考えています。
これまでは、営業支援サービスを導入いただいた場合、基本的には営業支援サービスを継続いただくことしかありませんでした。もちろん、中には人材支援サービスも一緒に提供するようなケースもありますが、やはり1社に対して1サービスを提供することが主でした。
社内では外部リソースを「ユニット」と呼んでいます。これからは、ユニットという考え方でサービスのコンセプトを整理し、1社に対して複数のユニットを提供していこうとしています。営業はもちろん、管理、もしくは人事として採用のお手伝いをするようなユニットなどを提供していく考えでいます。
社員を1人採用するよりも安く、かつ明日から使えて、さらにノウハウや資産が残るということを優位性とし、1社に対して価値のある複数のユニットを提供していこうとしています。そうすることで、人手不足などの際に場合によっては企業が採用を行うよりも、当社を活用したほうがメリットになるような市場が作れると考えています。
すでにテスト的に動き出しおり、社内でもこのパラダイムを変えていくには少し時間がかかるとは思いますが、徐々に変化が見えてきて大きな成長の可能性を強く感じています。
具体的な外部リソース提供型事業の詳細[2/2]
もう少しイメージを膨らませていただくために、例を挙げさせていただきます。「株式会社●●社」という会社におけるユニットの契約状況を、図で可視化しています。
その企業が必要とする組織は、営業・秘書・管理、人事・クリエイティブ・広報があるとします。本来であれば、これら6つの組織に対して、それぞれ人を採用する必要がありますが、採用ではなく、当社のユニットを活用いただいていると仮定します。そうすると、当社としては、今までのように営業支援サービスのみを提供するのではなく、6つのユニットをご利用いただいているかたちになります。
1ユニットの価格帯は、現状の1サービスあたりとほぼ同様の価格帯で提案をしており、この企業のケースにおいては、6つのサービスをご利用いただいている状況になります。
従来であれば1社、1サービスのところを、今回のケースであれば、1社、6サービス導入していただいているのと同様の経済効果を見込むことが可能になります。
1つのユニットは3つの機能から構成されています。具体的にはコンサルタントとクラウドワーカー、DXツールおよび生成AIになります。それらを、人材1名採用するよりも安い金額でご利用いただけます。今までも、営業支援は営業ユニットというかたちで提供していたのですが、それらをあらゆる業務に対しても提供していこうと考えています。
従来のお客さまの観点では、人が辞めてしまった場合に「採用」という選択肢が主でしたが、今後は「採用」すると同じレベルで外部リソースとしてユニットを活用するということを選択できるような市場を作っていこうと考えています。
現在、当社が提案可能なユニットは、営業・インサイドセールス・クラウドプロダクションで提供しているWebのマーケティング・クリエイティブがあります。さらに、バックオフィス支援なども始めており、今後、経理業務・人事支援・人材支援サービスで提供しているクラウドワーカーの活用を支援するユニットも提供していこうと考えています。さらに広報・秘書業務もユニットとして提供できるようになっています。
外部リソース提供型事業への転換後の顧客基盤
このような取り組みを行うことで、今まではBtoBの企業かつ中小企業が対象だったのですが、BtoCの企業や業種にも可能性を広げていくことが可能です。
さらに、中小企業だけではなくミドルの会社やエンタープライズの会社が人を採用する代わりに外部を活用しようというマーケットが成立していくと、大変大きな市場になると考えています。
当社は最大市場として、減少する労働人口700万人に平均年収の400万円を掛けて約30兆円の市場があると定義しており、その1パーセントだけでも約3,000億円となり、ポテンシャルは大きいと考えています。
外部リソース提供型事業に転換することによるメリット
当スライドでは、お客さまのメリットと当社のメリットをそれぞれ記載したものです。この外部リソース提供型事業に転換することで、お客さまが抱えていた人材の課題を解決するソリューションだという定義になります。
まず顧客側のメリットです。1つ目として「人的課題の解決」が図れます。もちろん営業業務の課題解決として営業ユニットを使うことで当社は成長しているのですが、そもそも営業人員を採用するのか、外部を活用するのかというテーマの中では、採用するよりも利便性がありますし、もしくは営業支援から取引が始まって、採用部分の業務をお手伝いするニーズにも応えることができます。
また、2つ目は「最短でスポットでの活用が可能」であり、最短で取り組むことができます。実は当社の社員採用のリードタイムでは、この部門の人員を採用しようと決めてから、募集、面接、面接後から実際に入社するまでのリードタイムが4ヶ月掛かります。本来4ヶ月のリードタイムがある状態を、ユニット型のサービスであれば、お客さまは明日から取り組むことができ、スピード感や即時性に大きな価値があります。
加えて、1ユニット目、2ユニット目は12ヶ月はご利用いただく契約形態をとろうと思っていますが、3ユニット目、4ユニット目は、例えば3ヶ月や6ヶ月からでも導入いただくことを考えており、スポットでの業務活用も対応できるようにしていきます。
3つ目は、当然ながら「低コスト」です。社員1人を採用するとなると、採用費・採用広告費・採用にかかる人件費・採用した人員への人件費、研修費がかかります。加えて、地代家賃等の経費も必要になってきます。人件費以上に採用にはコストがかかることを考えると、ユニットは25万円、30万円など安い金額で利用できます。
さらに4つ目は「ノウハウが資産として残る」メリットがあります。当社の場合は、ノウハウをお客さまの内部に入れることができるため、お客さまとしては属人化せずに活用が可能です。
次に当社のメリットです。1つ目は「1顧客当たりの単価の向上」です。1社に対して複数のユニットを提供できるため、そもそもの客単価が大幅に上がります。2つ目に「顧客基盤の拡大」ができ、3つ目に「受注率の向上」が可能となります。今までのサービス提供からユニットの提供というコンセプトの変化により、営業先の企業も人件費との比較になるため、検討する際にもわかりやすく、受注率も一定程度向上すると定義しています。
あくまでもイメージですが、現在は約4,000社のお客さまがいらっしゃいますが、基本的には1社1サービスの提供となるため、基本は「商談数×受注率=受注件数」になります。このユニット提供のコンセプトに変化すると「商談数×受注率×ユニット数=受注件数」になるため、モデルが大きく変わってきます。
これから5年から7年かけて、お客さまを約20,000社にしようと考えています。顧客数が5倍になるため、決して簡単ではありませんが、着実に成長していけば、この5倍も十分可能ですし、さらに別の顧客数を増やすところに投資すれば、この部分も増えてきます。
当社は、約2万社の会社さまに平均して5ユニットを提供していこうと考えています。もちろん毎月10人採用するようなエンタープライズの会社であれば、その10人のうち2人を当社外部活用に変えてほしいと考えています。それだけでも年間24ユニットになるため、非常に影響が大きいです。
仮に「20,000」社、「5」ユニットを導入いただき、1ユニット当たりの単価が300万円だとすると、トータルで3,000億円となり、先ほど申し上げた市場規模は30兆円で、そのうちの1パーセントの3,000億円となります。
つまり、市場規模は30兆円で、そのうちの1パーセントを新しく活用市場するかたちで当社が作って、事業を行うことで、5年から7年後に3,000億円の数字を作っていこうと考えています。
4つの成長戦略
前期のアクションプランとも同じですが、来期の成長戦略として、大きくはスライドにある4点に取り組んでいこうと考えています。
1つ目が「商談件数の向上」で、2つ目が「受注率の向上」です。3つ目の「客単価の向上」にも着手しはじめます。4つ目は社内の「費用の最適化」です。この4点について施策ごとに、簡単にご説明します。
アウトバウンドコールの稼働数×アポ率の向上
来期の成長戦略の1つ目は「商談件数の向上」です。商談件数を上げるために、アポイントの「稼働数増加」と「品質向上(アポイント取得率の向上)」を図ります。もちろん採用も引き続き強化していきますが、そもそも電話をかける数を1時間あたり20件のところを30件にすると、1.5倍のパフォーマンスになります。
そのためすぐに電話ができるオートコールの機能を当社で開発し、それを高速でかけられるような機能の構築に現在着手しています。
また、そもそもリストの電話番号が使われていないケースも10パーセントから15パーセントあります。そのようなものについて、裏側で死活調査できる機能も開発し、効率を上げていくための取り組みを進めています。
さらに、品質自体を上げていくために、業界別の専任チームを構成しています。やはり業界特有のキーワードや知識、事例などさまざまな要素があるため、それらを業界ごとに分けてチームアップして事例を学習することでアポイントの率を向上させます。「数×率」を上げて、受注件数を最大化するための準備を行っています。
ニーズタグ、インテントタグの活用
先ほどご覧いただいたとおり、今までは「仮説」と「実績」からリストを作っていたところについて、「ニーズ・関心がある」ところを当社で把握をしたうえで電話を行います。
今後はこれ自体をお客さまがご利用いただけるようになるため、お客さまも自分たちの会社のニーズや関心があるリストを作成して、アプローチすることが可能です。これだけでも品質アップ率を大幅に上げることができます。
つまり、当社の品質が上がることになるため、当社でも商談件数を増やすのに役立ち、お客さまの顧客貢献にもつなげていこうと考えています。
受注率の高い商談チャネルを活用
来期の成長戦略の2つ目である「受注率の向上」には3点の取り組みがあります。1点目が、「受注率の高い商談チャネルを活用」です。今期と前期にいろいろなチャネルを使って営業した結果、受注率が高いものがわかっています。
まずはウェビナーで、そのほかは紹介、パートナー、インバウンドです。これら4つのチャネルをより増加させていく取り組みを行っています。もちろん、前期も行っていたのですが、今期はそれぞれにミッションを決めて、確実にその件数を取得できるように部隊を作って、今動かしている状況です。
ウェビナーは、当社グループ全体では1ヶ月に約30回行っていて、そこからのリードで受注につなげていくような動きをとっていたり、着々とパートナーさまを拡充したりしています。現在は士業の先生などにもパートナーシップを増やして、紹介いただける体制を作っています。
営業企画室の発足
次は営業企画室の発足です。もともと発足はしていたのですが、特に前期の第1四半期で受注率が落ち込んだきっかけの1つに、新入社員の結果がなかなか出ていなかったところがありました。
今は新入社員を専門的にトレーニングしており、合格しない限りは商談に出られません。商談したあとの受注率もすべて定点で追って、もし受注率が低い場合はそこに対するトレーニングを入れていて、フィードバックを実施することを組織的に動いています。
それと同時に、失注してしまった先にも引き続いてリカバリーのアプローチを行い、再度商談化していく取り組みも営業企画室で行っています。
データマネジメント課の発足
最後に、「データマネジメント課の発足」です。今まではアポイントを取得して商談するチームが完全に分断されていたため、商談したところの受注率が低いことを、アポイントを取得しているチームがすぐにキャッチアップできない状態でした。
この間をつなげる部門を作り、さまざまなアポイントの経緯から、そもそも約何パーセントで受注できているのかや業種ごとの受注率はどのようになっているのかを分析しています。その分析をアポイントのチームに戻して、組織的にPDCAが回る仕組みを運用して受注率を上げていこうと考えています。
ユニット制の取り組み
来期の成長戦略3つ目は「客単価の向上」です。進行期から進めているのですが、サービスの提供をユニット型にコンセプトチェンジして、都度企業の人的課題をヒアリング、さまざまなユニットを提供していきます。そうすることで、1社1サービスだったところに上乗せして、アップセルやクロスセルが提案できる状況になっていきます。
上場企業向けサービスのリリース[1/2]
次に、「上場企業向けサービスのリリース」を行いました。今までもエンタープライズ向けの企業にアプローチを行っていましたが、例えば13ヶ月契約であることがネックになり、どうしても予算編成のところに合わないといったことがありました。
そのため、上場企業の四半期ごとの決算にヒットできるように今回は3ヶ月だけでテストマーケティング・アプローチ・セールスの全部を当社が行います。しかも明日から取り組めるというサービスを立ち上げました。1ヶ月あたりの金額は約150万円、3ヶ月で約500万円弱と、通常の13ヶ月契約よりもコンパクトで客単価が高いモデルとして組んでいます。
最大の違いは、セールスメンバーまでこのユニットに入っていることです。当社の通常サービスの場合、セールスはお客さまのほうで行うようになっていますが、これらが入ってパッケージング化されています。
上場企業向けサービスのリリース[2/2]
3ヶ月の結果を見て継続いただくか、もしくはアプローチだけを積極的に行うかなどを提供できます。このような動きを進めていて、上場企業向けに提供を始めています。
更新額の向上
次は「更新額の向上」です。そもそも更新の提案をするときには、別のサービスの責任者に同席してもらって、アップセルやクロスセルを行ったり、お客さまの状況に合わせて内製化の提案を行ったりします。
また、「継続いただいた場合は、このようなものが新たにつくよ」という付加サービスの開発を行っています。
これらの更新額を上げつつ、お客さまの満足度を図るアンケートを徹底して行うシステムができるように取り組んでいます。また、クライアント戦略室で顧客属性の分析と他部署のサービスに親和性がある場合は連携する取り組みを行って、継続率を上げていくことを行っています。
直近の今期第4四半期から進め始めたのですが、受注件数に対してヒットしているというよりも、更新額が第3四半期と比べて1.5倍くらいに上がっています。そのため、これらを行うことで、更新額自体を上げて貢献できるようにしていきたいと思っています。
フルリモート正社員
来期の成長戦略の4点目は「費用の最適化」です。フルリモート社員としてコンサルティング人材・セールス人材の採用などを行っていきます。出社型の社員と比べると、役割に応じた報酬形態とすることで、人件費率を最適化できるため、ここも積極的に増やしていこうと思っています。
メンバーズ活用
メンバーズを活用してお客さま、当社、クラウドワーカーの3拠点の業務効率を上げていきます。今まで10時間かかっていたものを5時間でできるようにして、費用の最適化を図っていくことに着手しています。
AI/自動化の取り組み活用[1/2]
次に「AI/自動化の取り組み活用」ということで、自動化と生成AIの取り組みを進めています。さまざまな業務を棚卸して、自動化するためのプロセスを設計して、自動化する取り組みです。開発のチームでこの自動化プロジェクトを進めています。
AI/自動化の取り組み活用[2/2]
同時に、生成AIをメンバーズというアプリの中に入れています。この中に、当社が持っているあらゆるデータをインプットさせているのです。
まだ進行途中のため、現在は積極的に情報を学習させている状態ですが、当社のスタッフが「〇〇の業界に対して効果が出るリストをください」と言った場合に、「AIドマ」と名づけたAIが、自動的にインプットされたデータをもとに営業リストを出力します。また、トークスクリプトの改善も行います。これらに本格的に着手する動きを行っています。
この生成AIがいると、当社のスタッフの熟練度が低くても質問すれば回答が得られるため、サービス提供の品質をより高めていくことができます。ノウハウも均一化できることの仕組み化に取り組んで、生産性を上げていくことを行っています。
当社のユニットの中には、この「AI営業部長」が入るため25万円から30万円でこれらが使えるとなります。お客さまとしては、本当に人を1人採用する事に比べて非常に大きなメリットある提案ができるようになると考えています。
一方的に話してしまったのですが、今期は「商談件数の向上」「受注率の向上」「客単価の向上」「費用の最適化」のそれぞれにアクションプランを立てています。この進捗も決算発表のときにお伝えしていきたいと思っています。
本日、私からは「会社の概要」と「通期、第4四半期、翌期の業績のハイライト」「中期の戦略」「成長戦略」の4点をご説明させていただきました。本当に貴重なお時間をいただきまして、本日は誠にありがとうございます。
以上で私の発表を終わらせていただきます。
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