manebiが調査した「コンプライアンス体制」の現状に、禁じ得ない疑問と「あるべき」論

2023年9月4日 17:09

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 社員教育支援システムを展開するmanebiが、調味深い調査結果を発表した。8月2日付けの【企業コンプライアンス緊急調査】と題する資料の見出しには『8割のビジネスパーソンが、役員・管理職へ徹底したコンプライアンスの研修を要望~コンプライアンス研修の実施企業は半数にとどまる~』という活字が躍っている。

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 7月27日に20歳~60歳のビジネスパーソンを対象に行った、インターネット調査(有効回答数300)の結果だと言う。

 改めるまでもないだろうが、コンプライアンスが意味(意図)するところはいま、直訳されて浮上する企業活動に関する「法令遵守」に止まらない。

★就業規則: 10人以上の従業員を常時抱える雇用主は労基法の基準に基づく就業規則を作成し、労働基準局に提出し厳守を図らなくてはならない。

★倫理観・公序良俗の遵守: 法令に定められてはいないが、自社社員・取引先・消費者の信頼を得なくてはならない。昨今よく耳にする情報漏洩・データ改竄・ハラスメント・ジェンダー平等など社会倫理に沿って、企業は経営を行わなくてはならない。

 が周知の様に、コンプライアンス違反が後を絶たないのも現実。manebiは「何故なのか」の問題意識から今回の調査を行い、「背景」を世にぶつけたというわけだ。調査結果を要約すると、こんな具合である。

(1)「あなたが働いている会社ではコンプライアンスが守られていると思うか」: 守られて
 いるは63.3%にとどまる。対して「いない」が8.3%、「どちらともいえない」が28.3%。

(2)「コンプライアンスが守られていないと思う理由・エピソード」: 明らかにパワハラだが、「厳しい指導・叱咤激励」と片付けられている(トップ・上司の意識・認識のずれが主因)。時間外労働が多い(サービス残業が当たり前という経営層の意識・風土)。

(3)「あなたが働いている会社ではコンプライアンス研修は実施されているか」: 「実施さ
 れていない」が52%。「行われている」ケースで最も多いのが、eラーニング。PCやタブレット、スマフォを介してと言う状況。時代を感じさせるが私の個人的認識としては「押しつけであり、経営層との共有感に乏しい」。

(4)「現場だけでなく役員・管理職にも、徹底したコンプライアンスの研修が必要だと思うか」: 必要だと思うが、83.7%。「トップが徹底していないと意味がない」「上司こそコンプライアンスを意識すべき。意識せず権限を振りかざすと企業問題に発展する」などが、その理由として指摘されている。

 労働力不足の時代に対する危惧が強いいまこそ、ビジネスパーソンを惹きつける「コンプライアンス体制」の構築が不可欠と言えよう・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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