新彗星「西村彗星」、9月上旬から中旬には肉眼でも観測のチャンス

2023年9月1日 15:54

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発見時の画像(画像: 国立天文台の発表資料より (c) 西村栄男)

発見時の画像(画像: 国立天文台の発表資料より (c) 西村栄男)[写真拡大]

 静岡県掛川市の西村栄男(にしむら ひでお)氏により、2023年8月13日の明け方、東の低空、ふたご座の方向に新天体が発見された。国立天文台によれば、日本の天体愛好家を含む世界中の観測者の確認観測により、これが新彗星であることが判明したという。

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 最新の観測データでは、最も明るくなるのは9月17日で2.3等星になるとの予測だ。発見からまだあまり時間が経過しておらず、しかもわずか1カ月ほどで最高光度に到達するため、この情報はそれほど巷では知られていないホットな情報だ。

 ただし最高光度に到達する9月17日には、彗星が見える高度はかなり低い位置となるため、一般の人には日の出間際の太陽が近く観測がしにくい。彗星が比較的明るく、高度もあまり低くならないで見やすい時期は9月5日から12日あたりだろう。

 ちなみに9月5日の予測等級は5.5等級で、それから徐々に明るさを増しながら高度を下げ、9月12日には3.3等級まで明るくなるとのことだ。

 彗星の軌道や明るさについては不確定要素が多く、予測が難しいため、上記の情報はあくまでも現時点での最新予測値であることに注意してほしい。過去の彗星の予測データではぴったり当たることもあるが、予測通りにならなかったこともある。

 だが仮に予測が若干外れてやや暗めになってしまったとしても、現時点で7等級の明るさがあるため、小さな双眼鏡でも条件さえそろえば、観測できる可能性が高いだろう。

 9月5日から12日にかけて早朝4時台には、東の空に金星が明るく輝いている。その付近の空には現在かに座やしし座が並んでいる。9月5日には西村彗星はかに座に位置し、12日にはしし座辺りに位置している。

 かに座は明るい星がないため見つけにくいが、しし座には明るいレグルスがあるため、これを頼りにして付近の空を双眼鏡で捜索してみよう。ただしこの時間帯は日の出に近づいており、空が徐々に明るくなってくるので、捜索は迅速に行うことが肝心だ。運が良ければ西村彗星の尾が見られるかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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