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宝飾品:ツツミの一転減益も増配に伴う配当性向135%をどう読むべきか
ツツミ(東証スタンダード)。「宝飾品・貴金属の小売り大手」とされる。がこの範囲では不十分。ツツミの独特なビジネスモデルが色あせてしまう。
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まず「商社機能」ありき。ルース(カットされた原石)の仕入れからスタート。宝石の集積地とされる米国・ベルギー・イスラエル・インド・タイなどに確立した独自の情報網を有し、定期的に大量の買い付けを行う。ツツミでは「コスト競争力で優位・・・」とする。
「メーカー機能」。新商品開発に当たっては、3D CAD CAM(立体空間上に製図を行い、工作機械の加工プログラムを作成する)システムで対応。「スピード・効率・精密さを追求する」という。
「販売機能」。今年3月現在で161の専門店を展開。売上高比率は低いがECも展開。
日頃は宝飾品の類とは縁遠い。今回ツツミに興味を抱いたのは「収益動向」であり、「配当政策」。
2020年、21年3月期がコロナ禍の影響で収益が下向きになるのは分かる。22年・23年3月期が営業利益で「62.8%/36.8%増益」も理解できる。が今3月期が「0.4%増収(182億円)、34.5%営業減益(9億6000万円)、33.7%経常減益(10億円)、36.2%最終減益(5億8000万円)」計画という点に、首を捻った。
ツツミでは、「ウィズコロナ政策で景気が持ち直すことが期待される・・・しかし世界的な金融引き締め策が続く中で海外景気の下振れが景気を下押すリスクとなっており、物価上昇・供給面の制約・金融資本市場の影響に十分注意する必要がある」と発信している。
確かにマクロ経済と宝飾品市場動向の関連性は高い。矢野経済研究所でも、「2008年のリーマンショックを契機に宝飾品市場は低迷期に入りした」。「が2020年以降のコロナ状況が第5類への移行を契機に行動制限等による自粛疲れに伴い消費行動は活発化・・・22年の宝飾品市場も14年ぶりに1兆円規模を回復した」。「23年も心理的解放感に加えインバウンドの復活も想定されることなどから、1兆423億円への回復基調を予想する」としている。
結果はどう出るか。ツツイの収益動向に注目したい。ちなみに第1四半期は「前年同期比6.0%増収、22.7%営業減益」で立ち上がっている。
ところで「配当」は22年3月期:30円配/23年3月期:10円増配40円配、配当性向69.2%/6.・7%。そして今期も「10円増配50円配/134.7%」。四季報の業績欄は「会社計画やや過小感」とし【連続増配】の見出しを振っている。
ツツミは高自己資本比率(97.4%)を背景に好財務(無借金経営)を活かし株主還元に注力している。株主優待策も保有3年未満の単元株保有者期末に1000円相当のクオカードを提供している、という現状。
が気になるのはPBR(0.54倍)。第1四半期時点での純資産は前期末比2億8000万円減の662億5400万円。「減」の理由を「利益剰余金減⇔配当金支払い」としている。好配当性向政策が低PBRの要因とも取れる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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