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宇宙誕生初期の宇宙再電離を初めて直接観測 名大らの研究
宇宙誕生後9億年後から11億年後にかけての星形成銀河周辺の光の透過率(赤は9億年後、青は10億年後、紫は11億年後)(画像: 名古屋大学の発表資料より)[写真拡大]
宇宙にあるガスは、宇宙誕生から約38万年後の”宇宙の晴れ上がり”(光が電子による散乱で進めない状態にあったものが、電子による散乱が解け進めるようになった状態)よりも前には高温による電離状態にあった。だが次第に冷えて、その後の宇宙の暗黒時代には中性ガス状態(つまり電離していない状態)であった。
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宇宙誕生から1億5千万年後には、再びガスが電離を始める。この現象を宇宙再電離と呼ぶが、以後10億年間ほど継続されたと考えられている。だがこれはあくまでも理論上の話で、実際に宇宙再電離が起こった直接の証拠が、観測によって確認された事実はなかった。
名古屋大学は13日、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)により、宇宙再電離を世界で初めて捉えることに成功したと発表した。クェーサーの深い分光スペクトルと、JWSTによる高効率な銀河探査の組合せにより、宇宙再電離の現場を直接観測することに成功したという。
今回の研究は、名古屋大学、スイス・チューリッヒ工科大学、アメリカ・マサチューセッツ工科大学、ノースカロライナ州立大学の研究者らによる国際共同研究チームにより行われた。
宇宙再電離が捉えたのは、JWSTに搭載されたNIRCam(近赤外線カメラ)による観測だ。3.5μmスリットレス分光モードによって検出された、宇宙誕生から7.5億年ないし11億年後の時代における117個の星形成銀河が対象だ。それらの形成時期と、Lyα光(水素基底状態と第一励起状態のエネルギー差に対応する波長121.6nmの光)の透過率の関係について、調査を行った。
宇宙誕生から約9億年後の銀河では、中心からの強い光で銀河間ガスに電離が起こり、高い透過率を示す。一方で10億年後の銀河では、中性ガスの増加によって透過率が低下している。
また銀河中心から250万光年以上離れた領域では、透過率増加がみられる。11億年後では、銀河からの距離に応じて透過率が単調増加する傾向がみられたという。
これは、宇宙全体で電離が進んだことを示す証拠だが、銀河中心ではガス密度が高く透過率が低くなるものと推測される。
今回の研究により、宇宙再電離が直接時系列的に観測され、その進行状況が解明されたわけだが、理論上の話が実測データに基づき正しさが証明された意義は非常に大きいと言えるだろう。
(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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