【どう見るこの株】クロスプラスは反発の動き、24年1月期大幅営業・経常増益予想で収益回復基調

2023年4月24日 10:34

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 クロスプラス<3320>(東証スタンダード、名証メイン)は、ライフスタイルプロデュースカンパニーとして婦人服を中心に衣料品・生活用品・雑貨などの企画・製造・販売を展開するアパレル大手である。成長戦略としてECの推進、商品のNB化、ライフスタイル商品の拡大、サプライチェーンの再構築、新規事業の創出に取り組むとともにサステナビリティ経営も推進している。24年1月期は通期ベースで大幅営業・経常増益予想(上期は営業・経常赤字予想)としている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価は合い悪化の影響で水準を切り下げる場面があったが、24年1月期予想を好感する形で反発の動きを強めている。低PBRも評価材料であり出直りを期待したい。

■婦人服や子供服の企画・製造・販売を展開するアパレル大手

 ライフスタイルプロデュースカンパニーとして婦人服を中心に衣料品・生活用品・雑貨などの企画・製造・販売を展開するアパレル大手(連結売上高で婦人アパレル業界4位規模:繊研新聞22年8月1日付)である。

 グループは同社、および連結子会社5社で構成されている。同社はレディス、キッズ、雑貨などのアパレル製造卸売・小売、連結子会社のサードオフィスは専門店向けメンズのOEM・ODM、中初は主にレディス帽子の製造卸売、スタイルプラスはアパレル製品の企画、客楽思普勒斯(上海)服飾整理有限公司は中国での製品検品・検針・物流加工、ディスカバリープラスは児童発達支援サービスを展開している。

 23年1月期の売上高構成比は、ビジネス別にはアパレル卸売が81.7%(衣料品77.9%、非衣料品3.8%)、アパレル小売が17.3%(店舗等13.6%、EC3.7%)、その他・連結調整が1.0%、販路別には専門店が46.9%、量販店が35.1%、無店舗が9.1%、百貨店他が3.9%、ECが3.7%、その他が1,4%だった。23年1月期はマスク需要の減速でアパレル卸売の非衣料品が減少した一方で、アパレル小売の店舗販売が回復基調だった。

■中期経営計画

 22年3月に策定した中期経営計画(23年1月期~25年1月期)では、目指すべき企業像を「人生100年時代の豊かなライフスタイルの創造」として、数値目標には最終年度25年1月期の売上高650億円、営業利益10億円を掲げている。

 成長戦略として、顧客の拡張と提供価値のラインアップ拡充を図り、アパレル事業の深化と非アパレル事業の創出を推進している。アパレル事業の深化では、企画の視点を外出シーンから生活シーン別への提案に変更、人生100年時代を見据えたシニアカテゴリーの強化、ニューノーマルで定着したアウトドアやイエナカ需要の取り込みを推進する。非アパレル事業の創出では、健康・悩み解決・楽しみのカテゴリーでの生活雑貨開発、ライフスタイル領域での新事業創出を推進する。

 5つの重点施策として、ECの推進(顧客マーケティングの強化、取扱品目とEC販路の拡大)、商品のNB化(生活シーン別のトータル提案強化、コア商品および定番商品の比率向上)、サプライチェーンの見直し(素材や工場の集約による原価低減、生産国の分散とトレーサビリティの強化)、ライフスタイル商品の拡大(健康・遊び・生活雑貨の開発、非衣料品店舗への販売強化)、新規事業の創出(企業・自治体との協業促進、アパレルの枠を超えた新規事業開発)を推進する。

 商品のNB化では、コスパ重視で選ぶZ世代向けにカジュアルトレンドを提案する「Amourire(アムリール)」、30~40代の流行に敏感な女性向けにタウントレンドを提案する「Oeillet(ウイエ)」、30~40代の働くママに向けて時短コーディネートを提案する「BLANC+(ブランプラス)」、50~60代の令和シニアに向けて着心地良くこだわりの色使いを提案する「Do femme(ドゥファム)」などを強化している。

 さらにサステナビリティ経営も推進し、環境配慮型素材の利用促進、資材・副資材の循環利用促進、自治体との地方創生ワークライフバランスの推進などに取り組んでいる。人と環境に配慮したサステナブルファッションブランド「for/c」は23年3月に販売1周年を迎えた。

■24年1月期大幅営業・経常増益予想

 24年1月期の連結業績予想は売上高が23年1月期比1.7%増の580億円、営業利益が63.5%増の3億円、経常利益が21.0%増の5億円、親会社株主帰属当期純利益が9.8%増の5億円としている。配当予想は23年1月期比2円増配の14円(第2四半期末7円、期末7円)としている。予想配当性向20.5%となる。

 なお第2四半期累計予想は売上高が前年同期比0.5%減の260億円、営業利益が2億50百万円の赤字(前年同期は4億11百万円の黒字)、経常利益が1億50百万円の赤字(同5億69百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が0百万円(同8億47百万円の黒字)としている。第1四半期の特別利益に投資有価証券売却益4億03百万円を計上予定である。

 第2四半期累計は円安の継続などで赤字予想としているが、通期ベースでは拡販や原価低減の推進で増収、大幅営業・経常増益予想としている。通期ベースの売上総利益率は0.6ポイント上昇して24.1%の計画としている。

 中期経営計画で掲げた重点施策(ECの推進、商品のNB化、ライフスタイル商品の拡大、サプライチェーンの再構築、新規事業の創出)に取り組むとともに、サステナビリティ経営も推進する。

 ECの推進では、自社サイト活性化と外部モール拡大で売上高30億円(23年1月期実績20億94百万円)を目指す。商品のNB化では、シーン別トータル提案による取扱店舗拡大や、企画精度の上がった単品の販売数量増を目指す。NB商品売上高の計画は56億円(同49億円)としている。ライフスタイル商品の拡大では、マスクの需要減速を補うため、4カテゴリーでの商品開発を加速するとともに、オンラインショップやバラエティストアなどの新規販路を活用する。ライフスタイル商品の売上高は18億円(同8億円)を目指す。

 サプライチェーンの再構築では、素材や工場の集約による原価低減、アセアン(ミャンマー、バングラデシュ)での生産拡大と品質向上、トレーサビリティの強化を継続的に推進する。主力工場の生産比率は75%(同70%)の計画としている。主力工場の生産比率を上げることによって不良品削減にもつなげる方針だ。新規事業の創出では、アパレルでの協業を起点に企業や自治体と連携(ジェンダーフリースーツの企画、サッカーチームとの商品コラボ、企業ユニフォームの作成、障がい者との共同開発など)し、新規ビジネスの創出を推進する。

 24年1月期は通期ベースで大幅営業・経常増益予想としている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げる場面があったが、24年1月期予想を好感する形で反発の動きを強めている。低PBRも評価材料であり出直りを期待したい。4月21日の終値は756円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS68円18銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BP1693円82銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約58億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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