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【映画で学ぶ英語】『ジョン・ウィック:パラベラム』:新作につながるタイトルの意味を解説
3月24日(現地時間)、キアヌ・リーブス主演のアクション映画「ジョン・ウィック」シリーズの新作「コンセクエンス」が全米で劇場公開された。
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日本では2023年9月に公開が予定されている本作は、キアヌ・リーブスが同シリーズに出演する最後の作品。上映時間も2時間49分とシリーズ最長でファンの期待も大きい。
アメリカとカナダを合計した北米における封切り週末の興行収入は、7350万ドル(約96億円)を記録し、好調な滑り出しとなった。
今回はシリーズの前作「パラベラム」のタイトルの意味を解説し、関連する英単語を紹介しよう。
■映画『ジョン・ウィック:パラベラム』のあらすじ
凄腕の殺し屋ジョン・ウィックは最愛の女性と平和に暮らすため、裏稼業から足を洗った。
しかし、愛するものを次々に奪われたジョン・ウィックは、復讐のため再び殺しに手を染めることになる。
やがて世界の犯罪組織を束ねる「主席連合」の一員サンティーノを殺したジョン・ウィックは、全世界の殺し屋から生命を狙われるようになった。
亡き妻の思い出を守るため生き延びたいジョン・ウィックは、主席連合の首長と話をつけるべくモロッコに飛ぶのだが……。
■今回の表現
「パラベラム」というタイトルついて、主演のキアヌ・リーブスはComingSoonに対して以下のラテン語の名言に由来すると答えている。
“Si vis pacem, para bellum,”(...), “If you want peace, prepare for war." - 「平和を望むなら戦争に備えよ」
パラベラムはこの名言の後半、「戦争に備えよ」という意味だ。ちなみにラテン語para/paroには「(戦争などを)起こさせる」という意味もあるため、「平和を欲するならば、戦争を起こせ」とも訳せる。
3作目でジョン・ウィックが生きる理由は、亡き妻の思い出を守る平和な生活を取り戻すことであることが明らかにされた。
新作では「主席連合」を敵に回したジョン・ウィックが、果てしない戦いの末に平和を手に入れられるかどうかが、重要なテーマだ。
つまり、3作目「パラベラム」はシリーズのなかで最終作の決戦に備える準備段階であった、ということになるだろう。
■表現解説
それでは、パラベラムという言葉について、さらに詳しく解説していこう。
この言葉はラテン語でparo「整える、準備する、調達する」という動詞と、bellum「戦争」という名詞からなっている。
Paraは動詞paroの単数命令形。ここから派生したラテン語praeparoが中世フランス語経由で英語に入り、「準備する」という意味の動詞prepareになった。
一方、bellumというラテン語も様々な形で英語に取り入れられている。
たとえば英語のbeforeにあたるラテン語の前置詞anteと合体した、antebellumという形容詞。「戦争前」という意味で、特にアメリカ南北戦争の前を指すときに使われる。
さらに、belligerent(好戦的な、交戦中の)やbellicose(好戦的な、けんか腰の)といった形容詞のbelli-は、bellumに由来する接頭辞だ。
ちなみにParabellumは、世界で最も多く使用される弾薬の1つ、9x19mmの実包の通称でもある。
ジョン・ウィックが2作目以降愛用している拳銃、グロック34(TTI Combat Master Package)がこの実包を使うことは言うまでもない。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る)
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