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2月の倒産件数、11カ月連続で増加 物価高原因の倒産も急増
東京商工リサーチと帝国データバンクが物価高を原因とした倒産動向の調査を発表し、2022年から原材料高や燃料高を原因とした倒産件数が急増していることが分かった。
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■新型コロナ関連の倒産が急増
8日、東京商工リサーチが2023年2月の倒産状況を発表した。2月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)件数は前年同月比25.7%増の577件となり、11カ月連続で前年同月を上回った。11カ月連続の増加は、2008年6月から09年4月以来、約13年ぶりとなる。
負債総額は同36.0%増の965億8,000万円となり、3カ月ぶりに前年同月を上回った。主な大型倒産は、飲食店経営のダイナミクス(負債総額:112億3,100万円、以下同じ)、医療機器の卸売のKiSCO(65億8,700万円)、機械製造のトガシ技研(56億円)、総合物流業のビーリンク(54億5,700万円)など。負債額100億円超の大型倒産が2カ月ぶりに発生した。
また新型コロナウイルス関連の企業倒産件数は同57.2%増の228件と急増。2020年2月からの累計倒産件数は5,232件となっている。
■8産業で倒産件数が前年上回る
産業別の倒産件数は10産業のうち8産業で前年同月を上回った。特に建設業(倒産件数:115件、前年同月比:43.8%増、以下同じ)、卸売業(66件、8.2%増)、製造業(60件、15.4%増)、サービス業他(190件、19.5%増)で倒産件数が多く、不動産業(24件、118.2%増)、運輸業(36件、125.0%増)で倒産件数が急増している。
一方、農・林・漁・鉱業(4件、50.0%減)は減少。小売業(51件)の倒産件数は前年並みだった。
■物価高倒産の件数が高止まり
同日、東京商工リサーチが2月の物価高倒産の動向調査を発表した。2月の物価高を原因とした倒産件数は41件で、前年(11件)の約3.7倍となった。過去の推移を振り返ると、22年1月までは7件となっていたところ、2月に11件となって以降、2桁の物価高倒産件数が継続。12月には56件と急増し、翌23年1月には42件と減少したものの、高止まりの傾向が続いている。
産業別で最も倒産件数が多いのは、建設業の10件。建設資材の高騰により収益が圧迫されているという。ついで製造業と卸売業が各8件、運輸業が6件、サービス業他が5件、小売業が4件。農・林・漁・鉱業など他の4産業では物価高を原因とした倒産は起きていない。
■帝国データバンク調査では過去最多の倒産件数
同日、帝国データバンクが「物価高倒産」動向調査を発表した。2月の物価高を原因とした倒産件数は53件で、前年(8件)の約6.6倍となっている。過去の推移を振り返ると、22年4月の12件からほぼ右肩上がりの傾向にあり、月間の過去最多件数を更新し続けている。
さらに年度別合計では100件前後の倒産件数が続いていたところ、2022年度は2月までの合計で396件と急増しており、例年の4倍超となることが確実視されている。
業種別で最も倒産件数が多いのは運輸業と小売業で各10件。ついで建設業と卸売業が各9件、製造業が8件などとなっている。物価高の要因別で最も多かったのは、「原材料」で37.0%。ついで「エネルギーコスト」が24.6%、「包装・資材」が20.7%、「人件費」が9.6%など。
新型コロナウイルスの影響で業績不振が続くところに、物価高で事業継続をあきらめるースが多く発生。今後も価格転嫁が厳しい業種である建設業や飲食業を中心に、物価高倒産の件数が増える見込みだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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