【株式市場特集】物流業界の「2024年問題」の関連株に注目、荷役現場で作業効率化するパレット株など

2023年2月28日 09:44

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 今週の特集は、サブ相場シナリオ銘柄の一角としてとして物流業界の「2024年問題」の関連株に注目することにした。2024年問題とは、働き方改革法によりトラックドライバーの時間外労働が年間900時間に制限される規制で、2024年4月1日から中小企業にも適用されることになる。この規制がどれほどの衝撃度になるかは、2017年に社会問題化した「宅配クライシス」を思い起こせば分かりやすい。宅配クライシスは、インターネット通販が急成長し配達個数が激増してドライバー不足となって物流のラストワンマイルが大混乱したことを指す。

 とくにインターネット通販は、それ以外の物流と異なってドライバー自身が、最後の顧客接点となって顧客対応も代行し、再配達や代引き・返品の対応などで業務量を煩雑化させ、長時間労働・残業増加などとドライバーの労働環境を悪化させた。業界トップのヤマトホールディングス<9064>(東証プライム)では、未払い残業代問題が表面化し、宅急便の総量抑制を決めるとともに料金値上げも打ち出した。株式市場では、再配達問題解決の切り札として宅配ボックス株が注目され、アルファ<3434>(東証スタンダード)、ダイケン<5900>(東証スタンダード)などの株価が大化けしたことは記憶に新しい。

 2024年問題は、宅配クライシスが、宅配便という1輸送サービスに発生したこととは異なり影響が物流業界全体に及ぶ。しかも、残業時間に枠がはめられたドライバーの収入が激減することは目にみえており、これが離職者の増加につながりドライバー不足に拍車を掛けることも懸念されている。このことは、2024年問題は、宅配クライシスの宅配ボックス株のようにピンチをビジネスチャンス、投資好機に変える銘柄が出てくるはずなのである。

 ドライバーの長時間労働の要因は、何といっても日本の北から南まで長距離・長時間輸送となることが第一だが、それ以外にも積み地・着地での荷待ち時間の発生、積み込みや積み下ろしの手作業による作業時間の間延び、荷主からのリ-ドタイムや時間指定などによる不効率輸送などが指摘されている。こうしたネックを解消する銘柄が関連株に浮上することになる。荷役現場で作業効率化するパレット株、そのパレットの積み込み・積み下ろしをするパレタイズロボット株、作業場運航の無人搬送車、仕分け作業のハンディターミナル株、配送管理システムの物流DX関連株、トラックの長距離輸送をフェリー、内航海運、鉄道と組み合わせ一部を代行して中抜けを図るモーダルシフト関連株などである。小型株が多く、一部には昨年来高値を更新中の銘柄もあるが、2024年4月まで折に触れて取り上げられる可能性もあり、息の長いサブ相場シナリオ関連株相場を期待したい。

■まず荷役効率化でバレット、パレタイズロボット、ハンディターミナル株

 荷役効率化でまず注目されるパレット株は、パレット・レンタルの日本パレットプール<4690>(東証スタンダード)、ユーピーアール<7065>(東証スタンダード)、オーダー・メイドのスチールパレットのシンニッタン<6319>(東証スタンダード)となる。シンニッタンは、今年2月13日に今3月期業績を上方修正し昨年来高値を更新した。パレットの積み込み・積み下ろしのパレタイズロボットではコード番号順にユーシン精機<6482>(東証プライム)、三菱電機<6503>(東証プライム)、安川電機<6506>(東証プライム)、ファナック<6954>(東証プライム)、川崎重工業<7012>(東証プライム)と続く。

 ハンディターミナルではサトーホールディングス<6287>(東証プライム)、オプトエレクトロニクス<6664>(東証スタンダード)、キーエンス<6861>(東証プライム)、日置電機<6866>(東証プライム)、カシオ計算機<6952>(東証プライム)が関連株となる。無人搬送車では、ダイフク<6383>(東証プライム)、日本車両製造<7102>(東証プライム)などに脚光が当たりそうだ。

■モーダルシフトではフェリー、内航RORO船運航株がすでに高値更新

 モーダルシフトでは、商船三井<9104>(東証プライム)の100%子会社の商船三井フェリーが、今年10月に同じ100%子会社のフェリーさんふらわあを合併し輸送力を増強させる。また川崎汽船<9107>(東証プライム)は、昨年6月に株式交換方式により川崎近海汽船を完全子会社化した。このほかフェリーや内航RORO(ロールオン・ロールオフ)船を運航しているのはナラサキ<8085>(東証スタンダード)、伏木海陸運送<9361>(東証スタンダード)、栗林商船<9171>(東証スタンダード)、東海運<9380>(東証スタンダード)などとなり、このうち伏木海陸運送と栗林商船が、今年2月10日にそれぞれ業績を上方修正し昨年来高値追いとなっているが、まだ投資採算的には割安水準にある。

 物流DX関連株では、倉庫管理システムのYE DIGITAL<2354>(東証スタンダード)、ロジザード<4391>(東証グロース)、物流DXコンサルティングのフューチャー<4722>(東証プライム)、ロジスティクスサービスのゼンリン<9474>(東証プライム)、輸配送管理システムのパスコ<9232>(東証スタンダード)、新規参入の凸版印刷<7911>(東証プライム)などへの注目度がアップしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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