増加が指摘される、低PBR企業に関する一考察

2023年2月21日 08:19

印刷

 2月4日の共同通信が、「東証上場の500社(日本取引所グループ:JPXが時価総額や取引額の高さから選出した)のうち株価が低迷し、保有資産から負債を差し引いた純資産を下回る企業が4割超を占めることが分かった」と伝えた。株式取引指標の1つである1株当たり純資産(解散価値)が1を割り込んだ、PBR:0倍台の企業が急増しているというのだ。2018年末のPBR1倍割れ企業は2割台だったという。

【こちらも】物流2024年問題の解決策は多様化、栗林商船のRORO船に高まる期待

 地方銀行株にPBR1倍割れが多いことは認識していた。だが今回のJPXの調べでは、建設や化学業の増加が目立った。

 低PBR企業ランキングを調べて見た。歴史もあり知名度も高い、リョービ(東証プライム)がそんな1社だと知った。本稿作成時の水準は、0.33倍。

 周知の通りリョービは、ダイカスト専業の首位。自動車のあらゆる部位に使用されている。アルミ・マグネシウム・亜鉛などの合金を、金型設計・製作・鋳造・加工・組立まで一貫して手掛けている。

 2021年12月期こそ半導体不足を背景とした自動車生産の落ち込みから、「15億2400万円の営業損失、43億9700万円の最終赤字」となった。だが自動車生産が回復基調に入った22年12月期は、「26.0%の増収(2495億2000万円)、69億6900万円の営業黒字、47億8400万円の最終黒字、25円増配45円配」。

 そして今期も「6.6%の増収、7.6%の営業増益、15.0%の最終増益、5円増配50円配」計画。「収益状況好転を前提に、PBR1倍水準まで買い直されるのを中長期構えで待つのも1つの投資法」とする、兜町関係者も少なくない。

 リョービの本校作成中の時価は1300円台終盤。予想税引き後配当利回り2.9%弱。大雑把に捉えると昨年来安値907円(3月9日)から同高値1371円(11月8日)まで買い直され、調整場面を挟んで高値更新。兜町筋の指摘も一理ある。

 その伝でいくと、「歴史ある著名企業」+「増益」企業にしてPBR<1銘柄には、栗本鐵工所(東証プライム)やナカヨ(東証スタンダード)なども浮上してくる。

 また低PBR企業を物色候補の俎上に載せる際には、有望な材料性もポイントになる。その意味で1日の企業産業欄に投稿した、「物流2024年問題の解決策は多様化、栗林商船(東証スタンダード)のRORO船に高まる期待」を再読して欲しいと思う。現時点でPBRは0.31倍である。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事