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建設現場が美術館に? 個性ほとばしるアート展が赤坂で開催中
東京赤坂のビル建設現場で、障がいのあるアーティストのアート展が開催[写真拡大]
持続可能なより良い社会の実現に向け、日本でも盛んになってきたSDGs活動。17の目標を達成すると設定した期限の2030年まで、あと7年だ。SDGsでは17の大きな目標とともに、「誰一人取り残さない」(leave no one behind)ことも宣言している。誰一人取り残さない社会とは、年齢や性別に関わらず、たとえ国籍や人種が違ったとしても、そして障がいを持つ人たちももちろん、皆が幸せに生きていける社会を実現するということだ。
厚生労働省による「生活のしづらさなどに関する調査」「社会福祉施設等調査」等に基づいて、内閣府が推計した基本的な統計数値によると、国民のおよそ7.6%が身体障がい、知的障がい、精神障がいなどの障がいを有しているという。十数人に1人くらいの割合で何らかの障がいを持っている可能性があると考えられ、この人たちを取り残してしまうことになれば、国民の10分の1もの人たちが、辛い思いをすることになってしまうのだ。それは持続可能な社会とは言えない。
政府でも、2021年3月から、従業員43.5人以上の企業を対象に障がい者の法定雇用率を2.3%に引き上げるなど、障がい者の自立や社会参加のチャンスを増やす努力をしているが、残念ながら「法律で定められているから仕方なく」といった企業もあるかもしれない。しかし、その一方で、障がい者ならではの個性や強みに目を向けて、新しい活躍の場を提供し、活動を支援しようとする企業も現れている。
例えば、積水ハウス株式会社は、障がいのあるアーティストの応援を目的に、東京都港区赤坂2丁目の「(仮称)赤坂二丁目計画」の建設現場において、2023年2月1日から2024年1月31日までの期間、「積水ハウス地域のアート展」を開催している。同プロジェクトでは、株式会社ヘラルボニーとライセンス契約を結ぶアーティストによる、7つのアート作品を建設現場の仮囲いに掲示し、アート使用料の一部をアーティストに還元する仕組みとなっている。さらには、作品毎に二次元コードが設置されており、気に入った作品があればその場ですぐにでも購入できる。
また、ただ通りすぎるだけの場所だった建設現場が、新たなアートスポットとして、街を彩る効果も期待できるだろう。
文化庁の調べによると、鑑賞以外のアート活動を行っている障がい者の2020年の割合は、2018年と比較して5.1%も減少している。積水ハウスでは、この理由が発表の場の不足や収入面にあると考え、それを支援する場を提供するとともに、障がいのあるアーティストの優れた才能と感性で街を彩り、社会を幸せにすることを目標に取り組んでいるという。
こういった取り組みは建設現場だけでなく、あらゆる方面でも応用できるだろう。雇用を増やすだけではなく、様々な企業が、障がい者の多様な個性や感性と出会うことで、新たなシナジーが生まれるはず。そして、そういった活動こそが、本当の意味での持続可能な社会のための活動といえるのではないだろうか。建設現場のアート展が、その大きな一歩となることを期待したい。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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