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ネット民のEV議論に情報提供 その2 #EV車の問題点
Photo:電力事情に余裕があるスイスでもEV車利用制限の可能性があることを報じる日経記事 ©sawahajime[写真拡大]
前回に引き続き「 #EV車の問題点 」に関しての、客観的な情報を取りまとめて行きたい。
【前回は】ネット民のEV議論に情報提供 その1 #EV車の問題点
●昔は気象・環境の影響が大きかった
50年以上の昔には、夏場の登坂路でのオーバーヒートの様な、周囲の気象や環境によって影響を受ける事象もあった。だが昨今の車では、気候で車の調子が極端に変わるなんて、ガソリン車やディーゼル車の様な「従来型の車」では考えられなくなった。
だが現在でも、冬場のこの時期は、EV車ではない普通の自動車であっても、バッテリーには過酷な環境となる。
救いは、従来の内燃機関搭載車は、エンジンが始動さえすれば、後はオルタネータで発電して弱っていたバッテリーに充電がなされる。
だがバッテリーに全面的に依存するEV車には、水位の下がったダムみたいなもので、つらい環境なのだ。
●バッテリーは寒さに弱い
ガソリン車でもEV車でも、バッテリーは搭載している。
ガソリン車やディーゼル車は、オルタネータで発電して、殆どの車はエンジンルームに搭載している「鉛バッテリー」に充電し、前照灯やストップランプ、ヒーターファンやリヤの熱線プリント、パワーウインドウやエアコン等へ電気を供給している。
車種によってはシートヒーター等も電力供給先だ。
昔から普通のガソリン車でも、冬場はガソリンの気化の問題とも相まって、バッテリーにとっては苦手な季節で、始動性の問題があったのはご承知の通りだ。
EV車はこれとは別に、駆動モーターを回す為の「車載バッテリー」を搭載している。このバッテリーも、気温が低いと、その能力は低下する。
「電欠」で止まってしまっても、内燃機関の様に「携行缶」で燃料を運んで来て補給することが出来ない。長時間にわたり、時には数日にわたる渋滞に対応出来ないだけでなく、その電欠車の為に、渋滞解消にとって大きな障害となる。
夏場に熱中症で亡くなるケースもあるが、ACが効かなくとも車を捨てて日陰を探して凌げるが、冬場は、車外に出ても寒さで凍死する危険の方が大きいことを忘れてはならない。
●車載バッテリーへの充電は結構大きい
EV車を保有している家庭が、家屋にソーラーパネルを設置して、自家発電した電気だけで走行しない限り、電力会社からの電気を充電にあてているはずだ。
残念ながら、日本の電力事情からは、東日本大震災での福島原発の事故以来、殆どの原発が稼働中止に追い込まれた。
資源エネルギー庁によると、2022年2月現在、国内で再稼働している原発は10基(定期検査で停止中も含む)であり、原子力規制委員会の新規制基準に適合していると判断されたものの、まだ再稼働していない原発は7基となる。
この状況下では、電力逼迫が叫ばれ、家庭のエアコンは勿論、電気製品の待機電力まで節電しろと騒いでいる。
そんな電力事情であるにも拘わらず、「1戸建ての1家3人が、4日間暮らせる」電力で300~400km程度しか走れないというのが現状のEV車を、補助金まで出して普及させる必要があるのかが問題だ。
●完成検査の充放電にも多大な無駄が
EV車の完成検査には「充放電」が必要となる。
1台組立てる都度、「1戸建ての1家3人が、4日間暮らせる」電力を無駄に消費していることを忘れないで欲しい。
●欧州でのEV車普及には各国の事情がある
「原子力発電比率71.5%のフランス」や「水力発電約50%のノルウェー」の様な、電力に余裕がある国で、EV車が普及していても、それは「多少の不便を忍んでも、コストとの兼ね合い」でEV車を活用しているに過ぎない。(参考写真: 電力事情に余裕があるスイスでもEV車利用制限の可能性があることを報じる日経記事 ©sawahajime)
2022年12月6日に配信されたニュースでは、スイスの「停電時にはEV使用を控えるべき」と緊急時対策の草案に盛り込むことが報じられた。
中でも注目されたのは、「不要不急の電気自動車(EV)の使用が制限される」という点だ。スイスは水力発電で62%、原子力発電で29%を賄っている。
また水力発電のおかげで、揚水発電(電力の余剰時に水を汲み上げておいて、必要時にこの水力で発電する)による貯蔵も可能だ。
そんな電力事情であっても、冬季の水力発電効率を考慮して「不要不急のEV車」は交通手段の担い手からは除外対象となっているのだ。
EV車にはまだまだ問題点が多数ある。「 #EV車の問題点 」は、まだ次項に続く。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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