CMの露出が目立つ、ボルテックスの「区分所有オフィス」とは

2023年2月4日 09:42

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VORT麻布イーストII(仮称)の外観(画像: ボルテックスの発表資料より、2022年10月撮影)

VORT麻布イーストII(仮称)の外観(画像: ボルテックスの発表資料より、2022年10月撮影)[写真拡大]

 本稿の読者諸氏の中にも、ボルテックスという企業の『この国に、1社でも多くの100年企業を』『東京を、企業資産に』というメッセージを伝えるCMに接した方も少なくないのではないだろうか。正直、CMの限りでは具体的なビジネスが理解し得なかった。

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 だがそれを知るために問い合わせをし、ましてや原稿を書くとなるとボルテックスの「思うつぼに嵌るだけ」と考えた。ただHPで「預かり資産時価総額4537億円」「空室率0.95%」(ともに月刊プロパティマネジメント情報)を目にし、知り合いの「週刊ビル経営」のスタッフから「綜合ユニコムが発行する雑誌の1誌で、相応の評価を受けている」と聞き取材を試みることにした。

 広報担当者との電話・メールの遣り取りで、CMが発信する意味・事業の枠組みを知った。要約するとこんな具合である。

(I)1999年春、現代表取締役社長兼CEOの宮沢文彦氏により設立された。宮沢氏の設立の意図は、「オフィスビルの区分所有があっていいのではないか」だった。当時、区分所有と言うとレジデンスが主体だった。「思い」は中規模オフィスビルを1棟で仕入れ、フロアごとにオーナーが「区分所有」する事業を展開する形で始まった。

(II)売上高は区分所有物件の当該期の販売と、関連会社による管理手数料収入。

(III)物件手当では例えば、昨年12月には「VORT麻布イーストII(仮称)」を取得している。地下1階・地上3階建ての店舗・オフィスビルで、昨年4月竣工の新築物件。最寄り駅からは徒歩5分前後の好立地。フロアごとの区分所有物件として早々にリーシングを開始、既に万床。

(IV)区分所有したオーナーが、自社として使用するもよし。賃貸案件として貸し出し、本業外の賃料収入を得るもよし。これまでのケースでは前者が約6%、後者が約94%とか。

(V)区分所有する(法人)オーナーのメリットも、ポイントのひとつ。本業と連動しない賃料収入を安定的に得ることで、自社の事業継続性が高まる。詳細はHPに譲るが、事業継承や相続などでのメリットも伴う。

(VI)新築物件以外でも、区分所有事業を展開している。ボルテックスが購入・リノベーションした都心の中古オフィスビルを区分所有オフィスとして販売。またさらに、1フロア小口化した商品「Vシェア」を展開。広報担当者は「区分オフィス事業では販売価格が数億と高いことから、オーナーを視野に入れた顧客から“手頃な価格で”という要望を受け、2016年秋からスタートした」と言う。

 宮沢氏のレジデンスばかりでなく、オフィスビルにも区分所有を・・・という発想が産み落とした興味深い事業と言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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