ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けた、ポールトゥウインHDの読み方

2022年12月7日 16:37

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 ポールトゥウインホールディングス(東証プライム。以下、ポールトゥウインHD)は、ゲームやコンピュータなどのデバッグ(不具合検出・検証・監視・調整)が主力の企業。海外主要国にも拠点を配置している。海外売上高比率、約3割。前2022年1月末で、外国人投資家の持ち株比率は前々期末から10pt増え40.5%達している。

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 前1月期の「28.1%増収、2.7%営業増益、5.7%最終増益(最高益更新)、1円増配14円配」に続き今期も、「17.0%の増収(400億8800万円)、21.1%の営業増益(40億200万円)、8.3%の最終増益(24億2800万円、連続最高益更新)、1円増配15円配」計画で立ち上がった。

 だが中間期開示と並行し、通期予想の修正を余儀なくされた。

 具体的には売上高・営業利益・経常利益は据え置き。最終純益だけを、18億円に下方修正した。ポールトゥウインHDではこう説明した。「国内ソリューションの堅調な受注や海外ソリューションの円安効果で、売り上げ・営業利益・経常利益は想定通りの進捗が見込まれる。最終利益を下方修正したのは、1518 Studiosに関するのれん代や無形資産の現存損失を計上した結果」と。

 1518 Studiosは、米国の現地法人(連結子会社)。欧米やアジアなどで、「2D・3Dアート」「アニメーション」「メタバースプログラミングサービス」の提供を手掛けてきた。ロシアやウクライナのフリーランススタッフに2D・3Dアートの開発を委託していたが、ロシアのウクライナ侵攻で、計画通りの事業遂行が困難になったためだ。

 ただポールトゥウインHDでは「グラフィック開発の受注減はあったが、音声収録・ローカライズ(他国等に受け入れられるように適正化する)・カスタマーサポートの受注は堅調で海外ソリューション分野も(中間期で)57億302万円となった」と、影響は限定的とする見方を示している。

 ただ株価動向には、いささか微妙さも感じる。3月に1224円の高値をつけた後、6月の856円まで調整。その後8月に1100円水準にまで戻すが、9月9日の「修正」後は下値ゾーンで推移。9月9日の終り値1037円に対し週明け9月12日は、始値980円:終り値950円。以降、900円台での展開が継続している。IFIS目標平均株価は1350円と上値余地を示しているが・・・。

 時価900円台前半の予想税引き後配当利回り1.29%。配当取り視野に様子見が賢明だろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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