日本企業の「脱ロシア」本格化、様子見から撤退へ ウクライナ情勢長期化で

2022年11月4日 07:49

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記事提供元:エコノミックニュース

帝国データバンクが日本企業の「ロシア進出」状況調査(10月)。ロシア進出企業1割が「事業撤退」へ

帝国データバンクが日本企業の「ロシア進出」状況調査(10月)。ロシア進出企業1割が「事業撤退」へ[写真拡大]

 2月下旬に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナのクリミア奪還への意欲が強まり、またロシアも動員兵を新たに投入するなど、さらに長期化の様相を見せている。欧米企業は侵攻初期からいち早くロシアからの全面撤退を実行していたが、地理的にも距離がある日本の企業はロシア内事業所の操業停止や製品輸出入停止などにとどめ様子見する企業が多数派を占めていた。しかし、このところ侵攻が長期化するにつれ、部品調達などサプライチェーンの混乱も長期化し、生産再開の目途が立たないことなどから撤退へと方針転換を決断するケースが増加、日本企業の「脱ロシア」は事業停止から撤退へと新しいフェーズへ移行しているようだ。

 10月31日、帝国データバンクが2月時点にロシア進出が判明している上場企業168社の動向を調査した「日本企業の『ロシア進出』状況調査(10月)」の結果レポートを公表している。これによれば、10月25日までにロシア事業の停止や制限・撤退を新たに発表・公開した企業は進出企業の45%にあたる75社となっている。この75社のうち、完全撤退に着手、または計画している企業は18社で全体の1割に達し、8月時点では10社に満たなかった撤退表明の企業は9月以降に急増し、10月25日までの2カ月間で新たに10社の撤退が判明した。8月にウクライナがクリミア奪還を表明したことも影響したのか、9月から撤退の動きが加速している。侵攻直後の3月、4月には事業停止を行う企業が急増したが、その後は様子見の状況が続いていた。しかし、長期化にともない、大手完成車メーカーなどを中心に一時的な事業停止措置から完全撤退や事業売却など恒久的な対応へと移行しつつある。

 各国の企業の状況を見ると、世界の主要企業約1400社のうち300社超がロシア事業撤退を表明しており、世界全体の平均撤退率は23%となっている。国別には、ノルウェーの56%が最も高く、次いで英国の47%、フィンランド46%、ポーランド45%が上位にきている。日本は11%で世界平均の23%より低く、イタリアの5%に次いで集計された国の中では2番目に低い水準となっている。しかし、ウクライナ情勢の終結は未だ見通せず、今後さらに長期化するにつれ、日本企業の脱ロシアの動きは「様子見=事業停止から撤退へと方針転換を決断するケースが増加する可能性がある」とレポートは分析している。(編集担当:久保田雄城)

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