コロナ破たん、9月は過去3番目と勢い止まらず 過剰債務が広がる 東京商工リサーチ

2022年10月1日 15:45

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 東京商工リサーチは9月30日、新型コロナウイルスの影響で9月に破たんした国内事業者数が206件に達し、過去3番目の件数だったと発表した。2022年の累計は1,606件で前年同期比32%増と増勢が止まらない。

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 借入金月商倍率や借入金増減の状況などの分析からも、多くの事業者において過剰債務ながら売上が回復していない状況が読み取れる。またゼロゼロ融資に関しては、中日信金が取引先の業績を改ざんし貸し付けた事例が発覚した。

 東京都は30日、コロナの新規感染者が4,558人確認されたと発表した。1週前から約3,000人減るなど引き続き減少傾向が見られる。東京都は、コロナ感染者による病床の使用率が低下していることを踏まえ、コロナ感染者用の確保病床を現在の7,262床から5,283床に減らすことを決めた。

 東海財務局は30日、名古屋市の中日信用金庫に対し、ゼロゼロ融資にかかる不正に伴う業務改善命令を出した。行員が、信用保証協会の承諾を得るために取引先の業績を改ざんしていた。

 ゼロゼロ融資は信用保証協会の保証を前提としており、民間金融機関はリスクを取らずに利息収入を得られる。不正の発覚は中日信金が初めてだが、現在の過剰債務問題の背景には、コロナ禍における金融機関の融資姿勢も影響がありそうだ。

 ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、日本時間1日午前11時時点における直近4週間の新規感染者数は、日本が引き続き世界最多で204万人。コロナが中国で最初に発見されて以降の累計では世界全体で6億1,758万人超が感染。国別では、米国が最多の9,638万人超、次いでインドが4,458万人、フランスが3,560万人、ブラジルが3,467万人。

 かかる状況下、東京商工リサーチは、新型コロナウイルスに関連する9月の経営破たん事業者数が、206件に達したと発表。コロナ新規感染者が減る一方、事業者の破たんペースは高水準のまま。コロナ発生以降の累計件数は4,380件(負債1,000万円未満を含む)にもなる。破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで3万9,957人となった。

 また、東京商工リサーチは9月30日、国内企業3万社の直近5期における借入金の状況を分析した結果を発表。借入金月商倍率は、2018年3月期から2020年3月期まで一貫して4.6倍程度だったのに対し、2021年3月期は約5.6倍まで急増した。つまり、コロナ初年度において、概ね1カ月分の売上に相当する額の借入金がゼロゼロ融資などで増えていたことになる。

 一方、コロナ2年目の2022年3月期は、借入金額を減らした企業こそ多かったものの、借入金月商倍率は約5.4倍と前年から微減に留まった。過剰債務を抱えたまま売上が回復しない事業者が多いことが見て取れる。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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