日銀の円買い介入はあるのか?

2022年9月15日 17:41

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●日銀がレートチェック

 日銀(日本銀行)が14日、金融機関へのレートチェックを行ったとロイター通信などが報じた。

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 報道を受けて、1ドル=145円が見えていたドル円は、142円台後半まで円が上昇した。14日午前にも神田財務官や、鈴木財務相から円買い介入を示唆する発言が相次ぎ、マーケットに緊張感が走った。

 黒田日銀総裁による異次元緩和により、円安を目指していたが、今度は進みすぎた円安への対処が求められている。円買い介入となれば24年ぶりとなるが、その実現性は高いのだろうか?

●レートチェックとは?過去の為替介入は?

 レートチェックとは、中央銀行が為替介入できる価格を民間銀行などに尋ねることである。為替介入の準備段階に入ったことを示唆する、強めの口先介入の効果がある。

 円売りも含めた為替介入は、民主党政権だった2011年11月以来行われていない。

 為替介入自体は1990年以降、1998年~2000年代、2010年~2012年頃に行われているが、約95%は円高是正のための円売り介入だった。

●円買い介入の実現性は?

 帝国データバンクによると、10月には6000品目の食品で値上げが予定されており、日本もいよいよ物価上昇が深刻となっている。

 9月13日に発表された米国のCPIが予想を上回る数値となったことで、インフレのピークアウトという楽観ムードが吹き飛び、米国株は売られ、ドル円も145円目前まで上昇した。

 政府にも日銀にも円安進行に危機感があることは間違いない。

 だが円買い介入のハードルは決して低くなく、相手国・米国の都合もあり、米国側が難色を示す可能性もある。インフレが進む米国では、ドル高を支持する声も強い。

 米国の許可がなくとも、円買い介入は可能ではあるが、そもそも実効性に乏しいという意見もある。

 米国が金融引き締めを行い、利上げを続ける中、日本は金融緩和を続けており、利上げの道筋も見えない。当面は、日米金利差は拡大を続ける。

 貿易収支は7月、8月と過去最大の赤字を記録し、経常収支も赤字となる月が出ており、円安圧力は常態化する可能性も高い。

 今回の口先介入は2円程度の下落にしか寄与せず、再び143円台まで戻った。円買い介入を仮に行っても、当面の円安傾向は変わらないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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