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鉄道各社の混雑解消策、「オフピーク定期」にダイナミックプライシング、そして・・!
新型コロナウイルスの流行が、満員電車の通勤に疑問を投げかけた。感染を防止するために「三密」の回避が叫ばれていながら、満員の電車で通勤していることに、疑問が生まれるのは当然だろう。
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利用者目線で考えれば、すし詰め状態で体力を消耗するのと、座席に座って悠々と移動する場合の料金が同じであることに、大きな違和感があった。
国土交通省が鉄道運賃に「ダイナミックプライシング」を導入して、混雑時の運賃を高めに、すいている時の運賃を低めにするための制度設計に入ったのは、時代の求めに応じる姿勢の表れだ。需要の少ない商品やサービスの価格が、需要の多い商品やサービスの価格よりも低く設定されるのは、経済の大原則でもあるから当然のことでもある。
新型コロナの洗礼により、在宅勤務の話題に違和感がなくなったばかりか、NTTなどは「原則在宅勤務」へと大きく舵を切った。今後コロナ前の需要を回復することは望めないと腹を括ると、現在の人的・物的な資源を効率的に運用することは、事業者の経営状態を改善することにもつながる。
1997年に、鉄道事業を続ける上での必要な費用に、一定の利益を加算する「総括原価方式」が決められた。この方式を基に事業者は国に上限価格を申請して、認可を受けている。
コロナ禍では需要が大きく減少して、事業者の収支が悪化した。ところが「3年先の収支見通しを立てて、公聴会を開催する」等の手順が踏まれることは難しい。コロナ過が3年後にどうなっているかを予測すること自体に無理があるから、既に使えない制度だったと言える。
国土交通省は7月26日に開催した有識者会議で、制度変更への提言をまとめた。提言は「総括原価」の算定方式に、インフラの耐震補強費用や車内犯罪を防止するための安全対策費用を運賃に反映させるため、ハードルを下げることを想定している。運賃改定後に事後チェックを行うことを前提にしながら、認可手続き自体を簡素化もすることも含まれている。
21年からJR東日本とJR西日本では、定期券利用者が混雑ピークとなる平日朝の時間帯を避けながら乗車した場合(オフピーク)に、ポイントを還元するサービスを始めている。
うちJR東日本は23年春と時期を区切って、JR西日本も時期は未定ながら、時間帯別運賃の実用化によってオフピーク時の割安定期券と、値上げした通常の定期券を並行運用して、乗客を分散させて混雑の緩和につなげることを目指す。なお、JR西日本は1カ月、3カ月、6カ月に限定している定期券の期間に、利用者の希望を柔軟に取り入れることも検討中だ。
西武鉄道も7月からオフピークポイントの還元を始め、ラッシュ時の密集回避を進めながら、多様化するポストコロナの生活スタイルに寄り添っていく。今後は西武沿線の観光地などへの行楽利用を視野に入れながら、繁閑の状況に合わせたポイントの還元により、休日の利用分散も検討するようだ。
東京メトロ(地下鉄)では路線の駅にカメラを設置して、列車の混雑状況をリアルタイムで配信すると共に、人工知能(AI)が解析した混雑状況を元に、その後の混雑予測も交えて配信している。既に銀座線、丸ノ内線、東西線、千代田線、有楽町線、副都心線、日比谷線、半蔵門線の8路線でサービスが行われている。22年度中には、全9路線でサービスが行われる予定だ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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