医療事務・介護・保育展開ソラストの、DX化事業に着目

2022年7月20日 16:43

印刷

リモート医事サービスの概要(画像: ソラストの発表資料より)

リモート医事サービスの概要(画像: ソラストの発表資料より)[写真拡大]

 ソラスト(東証プライム)は膨大な医療事務作業から医師を解放し、「本来の診療に専念して欲しい」という創業者の思いから1965年に設立された。医療事務の通信教育事業に端を発し通学教育、そして79年には医療事務の全面受託を始めている。いわば、医療機関に不可欠な相棒的存在。

【こちらも】ユニコーン候補:ユニファが、保育園事業拡大のソラストと伴走する意義

 そんなソラストが、子会社方式で「介護事業」に進出したのは98年。介護保険制度が施行される2年前のこと。同社では「国内外の高齢者介護の実情調査や米国視察など通して、以前から研究を進めていた」とする。

 具体的には99年に「訪問介護」「居宅介護支援」に足を踏み入れ2003年には通所介護、05年にはグループホーム事業に乗り出すなど事業領域を広げていった。展開に際してはM&Aも導入され、22年3月時点で「訪問介護拠点」「デイサービス」「グループホーム」「有料老人ホーム・サ高住」を中心に650カ所が運営されている。

 さらに東京都の認証保育制度が発足した(2001年)翌年には、認証保育所(江戸川区)を開設し保育事業に参入。03年に2カ所、04年には東京都初となる併設型病児保育施設を含む認証保育所4カ所といった具合に、M&Aも効率的に活かし着々と展開を重ね、22年3月末で66カ所を運営している。

 最近では、「午睡時の園児の安全と保育スタッフの作業効率化を図る、ユニファシステムを導入」といった報にも接した。

 そして今、ソラストが「新規事業」として注力しているのが『スマートホスピタル事業』。少子高齢化の進捗に伴い医療・介護のニーズが高まる一方で、医療を支える若年層の人口減少で人材確保が今後ますます困難になることが予想される。その解決策の切り札として期待されるのが、医療情報のデジタル化やクラウド化による「医療DX化」。

 医療業務に関わるプロを豊富に擁している点が強み。その強みを活かし人とICTによる医療DXのパッケージで、「医療従事者の負担軽減」や「医療現場での諸課題を解決」し医療事務業務の世界を根本から見直す。

 『iisy』。創業の精神を時代に即した形に置き換えた、ともいえる。第1弾として2021年6月から【リモート医事サービス】が始まっている。病院で事務方が担う医療事務業務を、品川・名古屋・宇都宮の「リモート医事センター」で専門スキルを持つスタッフがオンラインでリアルタイムに対応する。22年3月末段階で既に、サービスの申込契約件数は100件を突破した。

 ソラストのDX化事業の展開を見守りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事