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最古の火星隕石の起源解明 スーパーコンピュータで 豪カーティン大ら
ブラックビューティー隕石。(画像: カーティン大学の発表資料より (c) NASA)[写真拡大]
2011年に西サハラで発見されたブラックビューティーと呼ばれる隕石NWA7034は、年代が測定されている火星隕石の中では最古のものであり、約45億年前に形成された火星の岩石とされるが、厳密にはその起源は明らかにされていなかった。
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これまでに火星由来隕石は、およそ300個が発見されている。これらは火星探査機やマーズ・ローバーによって測定された火星の岩石や大気と、元素および同位体の組成が類似しているため、火星由来と結論付けられてきた。だがそれらがいったい火星のどの場所にあった岩石なのかが特定できなければ、その主張の信憑性はいつまでたっても、不確かなものにとどまらざるを得ない。
オーストラリアのカーティン大学を中心とするフランス、コートジボワール、アメリカの科学者らによる国際研究チームは、スーパーコンピュータを用いて火星に存在する様々なクレーター約9000万個の画像データを特殊アルゴリズムで解析。13日に、ブラックビューティーの起源となった火星の位置特定に成功したと発表した。
発表によれば、その位置は今から500万年ないし1000万年前に隕石衝突によって形成されたカラサクレーターだ。その地形は、火星誕生直後(今から約45億年前)に形成された火成岩でできており、隕石衝突により、その付近の岩石が宇宙空間に放出され、やがて地球の引力に捉えられて、西サハラに落下したものと結論付けられている。
この研究のために開発されたアルゴリズムは、水星や月の表面にある何十億もの衝突クレーターの特定にも使用されている。このような解析が可能になったのは、様々な惑星探査ミッションで、惑星や月の非常に精細な画像データが集積されてきたことと、従来、処理に時間のかかっていた膨大な数に上る精細画像の解析がコンピューター処理速度の向上で、迅速化が図られたことによる。
今後も様々な星に由来する隕石の故郷のクレーターが次々と解明されてゆくだろう。なお今回の研究詳細は、科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」で公表されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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