コロナ破たんはハイペース 円安への警戒も 東京商工リサーチ

2022年6月18日 17:39

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 東京商工リサーチは、新型コロナウイルスの影響で6月に経営破たんした国内事業者数が、17日時点で114件とハイペースで発生していると発表した。コロナ禍で負債を膨らませた中小事業者が商機に運転資金を確保できず倒産するケースが多いと見られる。加えて、円安により物価高が進み、株式市場も下落基調が続く中、消費の先行きを不安視する声もある。外国人観光客の受け入れ再開や「県民割」の拡大案などの支援策による消費回復への期待は大きい。

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 東京都は17日、都内で新たに確認されたコロナ感染者数が1,596人で、前週金曜日とほぼ同水準だったと発表。年代別では30代が多く、65歳以上の高齢者は全体の7.1%と上昇傾向が見られた。死亡者は4人が確認され、70代から90代だった。

 新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間18日午前8時時点で5億3,832万人超、死者数は631万人超。国別の最多は米国の8,621万人超、次いでインドが4,327万人、ブラジルが3,161万人。以下、フランス3,027万人、ドイツ2,712万人、イギリス2,266万人、ロシア1,812万人と続く。日本は直近4週間の新規感染者数が世界で9番目に多く、累計感染者数は917万人を超えた。

 為替相場は6月13日、一時24年ぶりとなる1ドル=135円台の円安水準となった。資源など物価上昇を背景に、先進各国の中央銀行が利上げを進める中、日銀が金融緩和維持の方針を示したことが主因と考えられる。円安により輸入物価が上昇し、賃金上昇の進まない日本では、消費への悪影響が懸念される。欧米市場での株価下落を受け、日経平均も17日には1カ月ぶりに2万6,000円を下回るなど、悪い材料が続く。

 観光庁は17日、観光需要を喚起する新しい支援策の概要を発表した。「県民割」の対象を全国各地の旅行に拡大させる内容で、「県民割」と「Go To トラベル」をかけ合わせたような内容。補助額の上限が「県民割」より高く、中~高価格帯のツアーなどでメリットが大きい設計。7月上旬から開始予定とのことで、消費回復効果が期待される。

 かかる状況下、東京商工リサーチは、新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数がハイペースを維持しているとの結果を発表した。6月は17日時点で114件、累計で3,676件(負債1,000万円未満を含む)に達した。破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで3万2,847人に達している。

 コロナからの正常化が進む一方、物価上昇や株安など景気の不透明感が高まりつつある。政府の新たな施策で消費の回復が期待されるが、コロナ禍で負債の膨れ上がった一部の中小事業者による「あきらめ型」倒産は、今後も続くと思われる。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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