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ブロッコリー由来の分子が肥満抑えるメカニズムを解明 東京農大ら
スルフォラファンがSREBPを分解するメカニズム(画像: 東京農業大学の発表資料より)[写真拡大]
東京農業大学らの研究グループは、肥満を抑える成分として、ブロッコリーに含まれる分子スルフォラファンを見付け出し、その働きのメカニズムを明らかにした。これまでもスルフォラファンは、その解毒作用、抗酸化作用などに注目されサプリなどに用いられていた。今回の研究により、科学的根拠も必要となる「機能性食品」としての開発に期待できるだろう。
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今回の研究は、東京農業大学応用生物科学部の井上順教授らが、東京大学との共同研究として実施。その研究成果は、5月24日のScientific Reportsオンライン版に掲載された。
肥満や糖尿病などの生活習慣病には、体内での脂質の合成や分解の調節が関連している。この調節の司令塔の働きをしているのが、転写因子SREBPである。
転写因子SREBPは、本来は体内の脂質が不足しているときに脂質の合成を促進する、体にとって必要な働きをしている。だがこの転写因子の働きが異常に亢進してしまうと、脂質を必要以上に合成してしまい、肥満など引き起こしてしまう。スルフォラファンが肥満を抑制するようだということは、以前から知られていたが、そのメカニズムはわかっていなかった。
スルフォラファンは、イソチオシアネートという物質の一種である。イソチオシアネートはアブラナ科の植物に含まれており、元々は昆虫などを寄せ付けないために働く物質である。
一方人間にとっても、様々な役立つ働きを持っていることが知られている。例えばワサビや大根に含まれている辛み成分アリルイソチオシアネートは、抗菌作用を持っており、弁当に入れる抗菌シートの成分として用いられている。
研究グループは、ヒトの培養細胞にスルフォラファンを与えたとき、転写因子SREBPにどのような影響を与えるかを検討した。その結果、スルフォラファンにより転写因子SREBPの前駆体が分解。そして転写因子SREBPが不活化されたじ結果、脂質合成が抑制されることがわかった。つまりスルフォラファンは、脂質合成を抑制することで肥満を抑えていることがわかったのだ。
これまでもスルフォラファンに肥満を抑える効果があることは経験的に示されていたが、今回科学的根拠が得られたことで、機能性食品として新たに開発されていくことが期待される。(記事:室園美映子・記事一覧を見る)
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