省エネのキーデバイスとなるパワー半導体、驚きの最新技術

2022年3月27日 15:51

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記事提供元:エコノミックニュース

「省エネ」には大きく分けて2つの方法がある。一つは、使うエネルギーを意識的に「節約」すること。そしてもう一つは、機器ごとに「エネルギーの使用効率を向上」すること

「省エネ」には大きく分けて2つの方法がある。一つは、使うエネルギーを意識的に「節約」すること。そしてもう一つは、機器ごとに「エネルギーの使用効率を向上」すること[写真拡大]

 「省エネ」には大きく分けて2つの方法がある。一つは、使うエネルギーを意識的に「節約」すること。そしてもう一つは、機器ごとに「エネルギーの使用効率を向上」することだ。

 エネルギーの無駄遣いを抑えて節約することは、家庭やオフィスなどでも比較的容易に実践できる。近年ではSDGsなどをはじめ、地球環境保全への取組みがクローズアップされる機会も増え、消費者の意識も高まっている。常日頃からエネルギーの節約を心がけているという人も多いのではないだろうか。ところが、世の中のあらゆる場面で自動化や機械化、電化などが進んでおり、いくら節エネしても電力消費量は増加する一方だ。

 とはいえ、エネルギーの使用効率を向上させることは、一般人には難しい。一般的な家庭でできることといえば精々、家電などを省エネ性能が優れたものに買い替えたり、スマートホームや太陽光発電などのシステムを導入してエネルギーを効率よく運用することぐらいだ。エネルギーの使用効率を向上させるためには、個々の機器や回路、供給システムなどで、より高効率な部品を使用し、電力を有効活用することが求められている。

 そこで注目されるのがパワー半導体の性能だ。パワー半導体とは、電気の流れ(交流・直流)を変換したり、各々の機器に応じた電圧に降圧し、モータを駆動させたり、バッテリを充電したり、マイコンやLSIを動作させるなど、電源の制御や供給を担う半導体のことだ。産業機器から白物家電にいたるまで、電気で動作するあらゆる機器類に搭載されている。電力の使用効率を向上させるためには、いかに高効率なパワー半導体を搭載して電力損失を抑えるかが重要なポイントとなる。

 そんなパワー半導体市場で近年、存在感を増しているのが日本の電子部品メーカー・ローム株式会社だ。とくに拡大が見込まれているSiC(炭化ケイ素)パワーデバイス市場においては、世界初のSiC-MOSFETやフルSiCパワーモジュールの量産、日本初のSiCダイオードの開発など、先進的な製品を次々と発表し、世界的なシェアを広げている。

 そんな同社は、SiC以外の高効率なパワー半導体の開発にも力を入れており、高い評価を得ているという。

 例えば、EV充電ステーション、サーバー、基地局など大電力を必要とする産業機器の電源回路や、省エネ化の進展によってインバータ化が進むエアコンなど白物家電のモーター駆動に最適な600V耐圧SuperJunction MOSFET“PrestoMOS?(プレストモス)”だ。2022年3月にラインアップされたPrestoMOS?「R60xxVNxシリーズ」は、機器の高効率化に大きく寄与するもので、値が小さいほど電気を流している時の電力損失が小さくなる「オン抵抗」値を同等一般品と比べてなんと最大20%低減している。PrestoMOS?の元々の特長である業界最速の逆回復時間(スイッチング時に完全にオフ状態となるまでの時間)も維持しており、スイッチング時に無駄に流れてしまう電力損失も同等一般品比で約17%低減できるという。両立が難しい2つの特徴を併せ持った、一般品とは一線を画すパワー半導体であり、搭載機器の低消費電力化が期待できそうだ。

 パワー半導体は小さな部品だが、その小さな部品がより高効率になることで、地球環境への負荷は大きく軽減する。日本の技術力が評価され、世界中で採用が進むことを期待したい。(編集担当:藤原伊織)

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