2013年のチェリャビンスク隕石、月誕生時の惑星衝突を示唆か ケンブリッジ大の研究

2022年2月24日 08:32

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チェリャビンスク隕石の顕微鏡写真 クレジット:Craig Walton

チェリャビンスク隕石の顕微鏡写真 クレジット:Craig Walton[写真拡大]

 今から9年前の2013年2月15日に、ロシアのチェリャビンスクに隕石が落下した。当時の光景は鮮明な動画として世界中に大きな話題を振りまいた。その映像は現在でもYoutubeで誰もが閲覧でき、何度見ても驚かされる。

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 ケンブリッジ大学は23日、この時採集された隕石破片の研究結果を公開した。隕石破片の内部組織を顕微鏡観察することによって、その隕石が経験してきた惑星衝突の歴史が事細かに刻まれていることがわかるという。

 隕石に刻まれた歴史の中で、科学者たちが最も興味を持っている事象が、月誕生の原因となった惑星衝突事件である。これは地球誕生直後(約45億年前)に起こったことが有力視されている。チェリャビンスク隕石の研究でも、その頃の惑星衝突の痕跡が懸命に調査された。

 チェリャビンスク隕石では、2つの年代における惑星衝突事件が見出された。ひとつは今から45億年前のもので、もうひとつは今から約5,000万年以内の時代の痕跡であったという。

 太陽系では、44.8~44.4億年前に多くの小惑星が高エネルギー衝突を経験した事実がある。チェリャビンスク隕石には、月誕生のきっかけになった惑星衝突事件の痕跡がとどめられている可能性があることを、研究者らは示唆している。

 またより最近(つまり今から5,000万年以内)に起きた衝突事件で、チェリャビンスク隕石は、月誕生のきっかけになったかもしれない惑星衝突を経験した小惑星の残骸から飛び出した。その後長い間宇宙空間をさまよい続け、2013年に地球の引力にとらえられたのではないかと推定されている。

 宇宙空間にはこのような、過去に起こった大事件の痕跡をとどめた生き証人がまだまだたくさん漂っている可能性がある。

 同じ流れ星であっても、毎年同じ時期に出現する流星群で見られる存在は、ほとんどが研究対象となる以前に大気圏中で蒸発してしまう。だがチェリャビンスク隕石のように周期性を持たず、宇宙の一匹狼的な存在のほうが、より科学者の興味をそそる魅力的な存在なのかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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