企業の東京離れが急増、転出企業数は過去最高 転出超過に

2022年2月22日 08:59

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記事提供元:エコノミックニュース

帝国データバンクが「首都圏・本社移転動向調査(2021年)」。コロナで企業の「脱首都圏」急増、過去最多の351社 11年ぶり転出超過

帝国データバンクが「首都圏・本社移転動向調査(2021年)」。コロナで企業の「脱首都圏」急増、過去最多の351社 11年ぶり転出超過[写真拡大]

 コロナを契機に企業の東京離れの兆しが見られる。ウイズコロナの中で社会の有り様は大きく変化し、産業界ではこれまで必要性を感じながらも遅々として進まなかった様々な改革が加速することとなった。その代表はテレワークの普及や商談・会議などのオンライン化でありDX推進であろう。業務のオンライン化は企業が本社機能を東京・首都圏に置く必要性を希薄化させる。特にIT関連のスタートアップ企業を中心に脱首都圏の動きが急増しており、2021年の首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)から本社を地方に移す企業が過去最多となり、転出企業数が転入数を超える転出超過となったようだ。

 2月15日に帝国データバンクが公表した「首都圏・本社移転動向調査(2021年)」によれば、2021年中に本社または本社機能を首都圏から地方へ移転した企業は351社、前年から2割超の大幅な増加となっており、これまで過去最多だった94年の328社を大幅に上回り過去最多を更新した。一方、地方から首都圏へ本社を移転した企業は328社、この結果、転出社数が転入を23社上回る「転出超過」となった。レポートでは「首都直下型地震など大規模災害によるダメージの軽減に加え、少子高齢化・人口流出に悩む地方の活性化につなげる目的で、政府や自治体による移転の優遇税制や補助金といった支援策が打ち出されてきた」ことも背景にあると指摘しており、また「コロナ禍で首都圏一極集中の事業リスクが顕在したことに加え、業績悪化にともなうオフィスコストの圧縮」、「テレワークが普及・浸透したことでオンライン上でも業務可能となった企業では、首都圏におけるオフィス維持のメリットが薄れる」などを要因としてあげている。

 転出企業を業種別に見ると、「サービス業」が156社で最も多く、このうちソフトウェア開発やベンダーなどソフトウェア産業が23社でサービス産業全体の1割超を占め目立っている。次いで「卸売業」60社、「製造業」51社と続いている。転出企業を売上高規模別にみると、「1億円未満」が176 社で最も多く、小規模企業が多いようだ。うち5000万円未満の小規模企業、設立間もないスタートアップの割合はコロナ前を大きく上回る水準となっている。レポートは「テレワークなどコロナ禍に対応したビジネス環境が定着するか、コロナ禍前に戻るかに左右されるとみられ、引き続き企業の『脱首都圏』の動きが続くかは不透明な状況下にある」と指摘しており、今後の動向が注目される。(編集担当:久保田雄城)

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