地球の水、地球誕生前からすでに太陽系に存在 仏国立科学研究センター

2022年2月8日 08:46

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 宇宙において生命誕生のカギを握ると考えられている、最も重要な物質は水である。地球上で現在、生命が繁栄できているのは、地球に水があったからに他ならない。だが地球上の水は、地球の誕生時にすでに存在していたのか、それともどこかから飛来した微惑星がもたらしたものなのか、厳密にはその謎は解明されていなかった。

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 この謎の解明に挑んだフランス国立科学研究センターなどの研究論文が、ネイチャーアストロノミーで公開された。結論から先に言えば、現在地球上に存在している水は、少なくとも太陽系が誕生して20万年後には、当時太陽系を構成していた星間ガスの中に存在していたと言う。その痕跡は、地球に落下した太陽系で最も古い年代の隕石の中に、見出すことができたとしている。

 この結論は前出の隕石における、カルシウムとアルミニウムの化合物からなる介在物の水素同位体分析によって、明らかになった。微惑星衝突時の熱などによって、いったん溶融した介在物に星間物質から取り込まれた水素同位体の量が、溶融前に介在物が保持していた水素同位体の8.5倍にも及んでいたと言う。

 介在物とは、金属間化合物などから構成される金属よりも融点の高い非金属物質を意味し、よほどの高温にならなければ簡単に溶融しない物質だ。それが溶融した際に、原始太陽系を構成していた星間ガスと化学平衡状態になり、大量の水素同位体を星間ガスから取り込んだのだ。

 地球が誕生しなければ、当然生命の誕生はありえなかったわけだが、地球が誕生するずっと前から、宇宙の創造神は生命が誕生できる環境を整えてくれていたことになる。水分が豊富な星間ガスの存在がどんなものであったのかは、想像がつかないが、我々が日常目にしている空に浮かぶ雲のような光景が原始太陽系に広がっていたのかもしれない。

 ただし、宇宙のすべての原始恒星系に水に富んだ星間ガスが存在しているかどうかはわからない。生命の誕生は宇宙ではレアケースなのか、ごくありふれたことなのかはまだ謎のままである。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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