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自動車メーカーの競争力決める「MIC」とは サービスとしての自動車へ
矢野経済研究所が「モビリティDXに関する調査(2021年)」。自動車のコネクテッド化で、収集したビッグデータをどのように運用し活用するかが、自動車メーカーの競争力のポイントになる。[写真拡大]
次世代モビリティのコンセプトを表すキーワード「CASE」とは、コネクテッド(Connected)、自動運転(Autonomous)、カーシェアリングとサービス(Shared&Services)、電気自動車(Electric)の頭文字をつなげたものだ。中でもコネクテッド(つながる車)は車をICT端末として機能させるもので、車のDXとも言え、これまでのモノとしての車をサービスとしての車に変化させる。
11月9日、矢野経済研究所が「モビリティDXに関する調査」の結果レポートを公表しているが、この中で将来的に自動車メーカーでは「ビッグデータをどのように運用し、活用するかが競争のポイントになる」と指摘し、こうした自動車がもたらすビッグデータ活用・運用の流れを「MIC(モビリティ・インフォメーション・サークル)」と名付け、「今後、既存の自動車メーカーやEVカーで新規参入を狙う新興メーカーにとって、競争の尺度はMICをいかに早く確立できるかに移ってくる」と予測している。
MICは2つのサイクルからなるが、一つ目は「企画・設計」-「生産」-「販売」-「保守」というサイクルで、OEMの社内や自社グループ内での新しいデータ循環を示し、企画・設計段階のシミュレーション用途などでデータが活用されていくフローだ。自動車用のさまざまなアプリが開発され、個人の趣向に合わせた最適化が志向され「個車化」が進むと予測される。もう一つは「カーシェア」-「保険」-「官公庁」-「各種団体」-「民間企業」という循環だ。これは多様な企業に対してクラウド上のデータベースからデータ提供することで新サービス創造を支援しようとする流れを示す。「モビリティからの情報を利用した新しいサービスを生み出すエコシステムとしての姿である」。
コネクテッドの進展により、自動車メーカー(OEM)は走行・車両・乗員など様々なデータを取得できるようになってきた。この動きは今後さらに強化され、クラウド上のデータベースに蓄積されるようになると見込まれる。レポートは「ハードウェアとしての自動車の価値は、将来、低下していく可能性が高い」と予測する。そして「それに変わる成長の源泉となるのが、このMIC for Service」であるとする。いわばサービスとしての自動車だ。「そこでは、新サービスが事業として成立するのか、シミュレーション等を行うサービス開発基盤が搭載されていく」とレポートは予測する。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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