関連記事
新築分譲マンションの「ZEH」宣言をした、住友不動産の捉え方
9月末に大手ゼネコンの一角であり、都市部新築マンション分譲でトップ級の住友不動産(東証1部、以下:住不)が「全ての新築分譲マンションをZEH(ゼッチ)にする」と発表した。ZEHは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス⇔エネルギーの消費量を抑制する住宅を意味する。国交省では「2030年までに、新築住宅でZEHが一般的になることを目指す」としている。
【こちらも】3大デベロッパー株との付き合い方
戸建て住宅であれば、例えば「太陽光発電設備」を実装することで「創エネ住宅」が可能。ZEHを牽引する。だが5階建て以上のマンションの場合、高層になるほど屋上面積に対する世帯数の比重が上がり「創エネ」は難しい。語弊があるかもしれないが住不は「創エネ」は捨て、「省エネ」で差別化する道に今後を賭したといえる。
3大デベロッパーにあって住不が「安定的経営」と評されるのは、マンション分譲への注力が指摘できる。
前3月期について住不では「9.5%減収、6.4%営業減益、0.3%最終増益(8期連続最高益更新)、5円増配40円配と売上・営業利益減も」・・・、「緊急事態宣言下の営業自粛もあり契約戸数の減少(売り上げ減)も、次期(2022年3月期)に計上を予定している戸数:3800戸の約8割が契約済みとなり・・・(マンション分譲主体の)不動産販売事業は、広告費・販売費減少と粗利益率改善で営業利益は過去最高を更新した」としている。
3大デベロッパーとも「賃貸ビルの低空室率」を背景に不動産賃貸事業はしっかりも、住不が頭1つ抜きんでた要因は「マンション分譲」の貢献に求められる。故に「ZEH」宣言ということだろう。
今3月期は「0.3%増収、4.0%営業増益、6.1%最終増益、5円増配45円配」計画でスタート。4-9月期実績の通期計画進捗率はそれぞれ、「52%余り、59%余、60%余」。住不では、「分譲マンション主体の不動産販売事業は、今期計上予定分は概ね予想通りの推移」とした。
以前にも記したことがあるが、三菱地所(地所)・三井不動産(三井不)・住不のデベロッパーのトップグループを形成する3社には、「積極的な投資妙味を覚えない」と指摘される。が、中長期スタンスで取り組んだ場合はどうか・・・。
地所の過去10年弱の間の株価動向は修正値ベースで、46.8%の上昇。三井不は2.26倍。住不は2.98倍。分譲マンション事業の注力度の差、などとは言わない。だが前記したようにこの間の「安定経営」が、住不の株価の上昇度に反映されているとは言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク