10月の景況感、2カ月連続で改善 コロナ拡大前の水準まで回復 帝国データバンク調査

2021年11月7日 10:47

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 帝国データバンクが10月の景気動向調査結果を発表し、2カ月連続で改善したとともに、新型コロナウィルス感染当初の水準まで戻りつつあることが分かった。

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■景気動向指数がコロナ前の水準に

 4日、帝国データバンクが10月の景気動向調査を発表した。10月の景気DI(動向指数)は41.5で前月比1.6ポイント増となり、2カ月連続でプラス(改善)となった。これは新型コロナウィルスの感染が本格化する前である2020年1月の41.9に次ぐ水準。プラス要因として、緊急事態宣言の解除に伴い人出が増加したことで個人消費関連の景況感が改善したほか、半導体製造装置などが好調、住宅ローン減税の期間延長やグリーン住宅ポイントの駆け込み需要による不動産業への効果をあげている。一方で半導体不足や燃料価格の上昇をマイナス要因としている。

■全10業界で景況感が改善

 業界別では10業界全てで景況感が改善した。特に農・林・水産(10月:41.1、前月比:3.0ポイント増、以下同じ)、小売(34.8、2.2ポイント増)、サービス(43.6、2.5ポイント増)などで改善幅が大きめ。小売は家庭医療用品の販売が伸びており、小分類の医薬品・日用雑貨品小売(45.8、11.2ポイント増)は調査開始以降で最大の改善幅。サービスでは飲食店(27.8、12.6ポイント増)も調査開始以降で最大の改善幅だったほか、旅館・ホテル(22.6、12.2ポイント増)、放送(49.1、9.9ポイント増)でも大きく改善した。
 一方、小分類における製造の精密機械・医療器械・器具製造(50.4、0.4ポイント減)、小売りの自動車・同部品小売(35.9、1.3ポイント減)、その他の小売(31.7、3.7ポイント減)、サービスの電気・ガス・水道・熱供給(42.6、3.2ポイント減)、人材派遣・紹介(39.7、2.2ポイント減)の5つの業界でマイナスだった。

■地域別でも全ての地域で改善

 企業規模別では、大企業(10月:43.8、前月比:1.3ポイント増、以下同じ)、中小企業(41.0、1.6ポイント増)、小規模企業(40.0、1.3ポイント増)で全体同様にいずれも2カ月連続プラス。
 地域別でも全10地域で改善。特に北海道(10月:40.8、前月比:2.3ポイント増)、北関東(42.8、2.4ポイント増)、中国(41.2、2.5ポイント増)、九州(42.0、2.9ポイント増)、北海道は国産材需要の高止まりや建設需要から波及した関連業界の好景気、中国は緊急事態宣言が解除された広島県や岡山県で改善幅が大きかった。

■今後は「回復傾向」で推移も原油価格などに注意

 11月の景気DI見通しは1.2ポイント増加の42.7。その後も緩やかな右肩上がりが続き、22年10月には47.0まで上昇するとしている。好材料として、新型コロナウィルスの鎮静化による生産・消費両面における経済活動の緩やかな正常化、5Gを含む通信インフラの環境整備、自宅内消費の継続、SDGsへの対応、半導体関連需要の増加、政府の経済対策をあげている。反面、半導体不足の長期化、原油価格や外国為替の動向を注視する必要があるとも記している。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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