アルテミス計画でのローバーによる月面探査 NASAが詳細を公開

2021年9月22日 16:08

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ローバーの着陸が計画されているノビルクレーター付近の風景 (c) NASA

ローバーの着陸が計画されているノビルクレーター付近の風景 (c) NASA[写真拡大]

 アルテミス計画は、米国が中心となり、EU、カナダ、オーストラリア、日本などの国々が連携して、再び月に人類を送り込むミッションだ。2024年までに、人類で最初の女性飛行士を月面に到達させる予定である。NASAは21日、このミッションにおける、ローバーによる月面探査の詳細を公表した。

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 アルテミス計画では、人類を月面に送り込む前の2023年に、ローバーをSpaceX 社のFalcon-Heavyロケットによって打ち上げ、月の南極にあるノビルクレーターの西端付近に着陸させる。人間が月面に長期滞在するために必要な情報を収集するため、月面や地下の様々なデータを集めることを計画している。

 月の南極には、恒久的に太陽光が当たらない太陽系で最も温度の低い領域がある。ノビルクレーターもその領域に属し、小天体の衝突でクレーターができた際に氷が形成され、それが溶けることなく、そのまま現在まで残っていると考えられている。

 そのような領域をローバーは、100日間にわたりソーラーパネルで充電をしながら探査する。その面積は、93平方kmにも及ぶ。探査は太陽光が永久に当たらない場所で行うが、充電は太陽光の当たる領域にまで移動して行うことになるため、ローバーは頻繁に移動を繰り返すことが予想される。

 このミッションでは最低でも3カ所の岩をドリルで掘削し、サンプルを採集する予定だ。うまくいけばさらに多くの場所でのサンプル回収も可能かもしれないが、実際のところは直接現地に行ってみないと詳しい状況はわからないというのが現状である。

 現在火星でもローバーがサンプル収集を実施している最中だ。火星においても、現地に行って直接確かめないと、どこに有益な情報を含むかもしれない岩が転がっているのかはわからない。ローバーの良いところは、そういった有益なサンプルのありかを直接探しながら、移動ができる点にある。原始的ではあるが、現時点ではそれが他の天体における最も確実なサンプル収集法なのだ。

 月面ローバーが得た情報は、月のどんな場所に氷が存在するのかを推測することにも役立つ。どこに月面基地を建設すれば、人間が長期滞在するために必要な水が得られるのかも、現在よりは容易に知ることが可能になるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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