新種の白色矮星を発見 ハッブル宇宙望遠鏡の観測で

2021年9月10日 07:54

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新種の白色矮星が発見された球状星団M13(左)と標準的な白色矮星しか見いだされなかったM3。いったいこれらの星団にはどんな違いがあったのだろうか  (c) ESA/Hubble & NASA, G. Piotto et al.

新種の白色矮星が発見された球状星団M13(左)と標準的な白色矮星しか見いだされなかったM3。いったいこれらの星団にはどんな違いがあったのだろうか  (c) ESA/Hubble & NASA, G. Piotto et al.[写真拡大]

 恒星は通常の核融合反応を終えた後にたどる運命が、おおむね3種類ある。恒星は生まれたときの自分の体重によってどんな死に方をするのかが、あらかじめ決まっている存在なのだ。太陽の質量の10倍未満の星は白色矮星に、10倍ないし20倍程度の星は中性子星に、30倍以上の星はブラックホールになる。

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 そして、宇宙に存在する恒星の約98%は白色矮星になるため、中性子星やブラックホールになる存在は実はこの宇宙では圧倒的に少数派なのだ。ESAハッブル宇宙望遠鏡は6日、この白色矮星に新種のものが発見されたと発表した。

 白色矮星と言えば、時間をかけてゆっくりと冷えながら暗くなっていく星というイメージがごく一般的だ。だがハッブル宇宙望遠鏡によって、表面で水素による核融合反応を起こす白色矮星が発見されたと言うのだ。

 新種の白色矮星は、ボローニャ大学とイタリア国立天体物理学研究所の研究グループにより発見された。グループは、2つの球状星団M3とM13のそれぞれから700を超える白色矮星を比較。M3では従来知られていた標準的な白色矮星だけが検出されたが、M13では、標準的な白色矮星に加えて、表面で水素による核融合が起こっている白色矮星を検出。

 この発見は、星の年齢の推定値を10億年も狂わせる可能性を示唆しており、新種の白色矮星は実年齢よりも若く見積もられてしまう可能性がある。したがってこれまでに見いだされたすべての白色矮星に対して、標準的なものなのか新種なのかを見極めたうえで、年齢を再検証していく必要性が出てきたことになる。

 なお太陽はおよそ50億年後に水素を核融合で使い果たした後、赤色巨星化し、外層を脱ぎ捨ててやがて白色矮星になるが、その大きさは地球くらいの小さなものになるらしい。当然そのころには地球は人類が住めない世界になっているのだが、果たして新天地を見つけているのだろうか。50億年先のことを心配してもどうにもならないが、人類にとって未来が明るいものであってほしいものだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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