マーケットエンタープライズは底打ち感、22年6月期は成長戦略再構築のステージ

2021年9月1日 08:30

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 マーケットエンタープライズ<3135>(東1)は持続可能な社会を実現する最適化商社を目指し、ネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業を展開している。22年6月期は成長戦略再構築のステージと位置付けて赤字予想としているが、積極的な事業展開で中期的に収益回復を期待したい。株価は年初来安値を更新する展開だったが底打ち感を強めている。出直りを期待したい。

■持続可能な社会を目指す最適化商社

 持続可能な社会を実現する最適化商社を目指し、ITとリアルを融合させたリユース(再利用)品取り扱いを中心に事業領域拡大戦略を推進している。セグメント区分はインターネットに特化してリユース品を買取・販売するネット型リユース事業、消費者に対して有益な情報をインターネットメディアで提供するメディア事業、低価格通信サービスのモバイル通信事業としている。

 21年6月期のセグメント別(連結調整前)の売上構成比はネット型リユース事業60%、メディア事業5%、モバイル通信事業35%、営業利益構成比はネット型リユース事業59%、メディア事業26%、モバイル通信事業15%だった。

 20年5月には、グループ全事業に関するITシステムのオフショア開発拠点として、ベトナムに子会社を設立した。21年6月には内閣府が運営する「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」に参画した。なお21年8月には出資先であるミナオシが法人リードジェネレーションサービスの本格運用を開始したと発表している。

■ネット型リユース事業は30カテゴリーに対応

 ネット型リユース事業は販売店舗を保有せずに、インターネットに特化して買取・販売サービスを展開している。買取総合窓口サイト「高く売れるドットコム」をフラッグシップサイトとして、商材別に分類された30カテゴリーに及ぶ幅広い対応で自社WEB買取サイトを運営し、コンタクトセンターにおける事前査定、リユースセンターにおける買取・在庫一括管理・商品化、複数の主要Eマーケットプレイス(ヤフオク、楽天市場、Amazon、Ebayなど)に出店した自社運営サイトでの販売という、一気通貫のオペレーションシステムを特徴としている。

 20年7月には「高く売れるドットコム」と、19年2月に事業を譲り受けた日本最大級のリユースプラットフォーム「おいくら」のシステム連携・送客を開始した。

 21年6月には北海道絵恵庭市と「おいくら」を活用した持続可能な循環型社会に関する連携協定を締結、21年7月には三重県いなべ市と持続可能な循環型社会に関する包括協定を締結した。また21年7月には「おいくら」がスマホ向け買取一括査定アプリをリリースした。

 M&Aを積極活用して、中古農機具、中古建機、中古医療機器など法人向け大型商材にも取扱商品カテゴリーを拡大している。子会社MEトレーディングは20年5月に中古農機具事業を譲り受けて、中古農機具の買取代行、国内および海外販売・輸出代行を展開している。

■事業領域拡大してメディア事業とモバイル通信事業も展開

 メディア事業は賢い消費を求める消費者に対して、その消費行動に資する有益な情報をインターネットメディアで提供するサービスを展開している。広告収入が収益柱となる。

 モバイル通信関連のメディア「iPhone格安SIM通信」「SIMチェンジ」、モノ売却・処分関連のメディア「高く売れるドットコムMAGAZINE」「おいくらマガジン」、モノ修理関連のメディア「最安修理ドットコム」、中古農機具買取・販売プラットフォーム「中古農機市場UMM」、農業に特化した「農業とつながる情報メディアUMM」などを運営している。

 なお「中古農機市場UMM」は、20年4月設立した子会社UMMが、20年5月国内最大級のインターネット中古農機具売買事業「JUM全国中古農機市場」を譲り受け、20年6月に名称を「中古農機市場UMM」に変更した。

 モバイル通信事業は、子会社のMEモバイルがMVNO事業者として、通信費の削減に資する低価格かつシンプルで分かりやすい通信サービスを展開している。主力は「カシモ」ブランドのモバイルデータ通信サービスである。

■プライム市場の新規上場基準で求められる収益基盤構築を目指す

 中期経営計画では目標として24年6月期売上高200億円、営業利益12億円を掲げている。東京証券取引所の新市場区分への移行によってプライム市場の新規上場基準で求められる収益基盤構築を目指し、主力の個人向けリユースの成長回帰、マシナリー(農機具・建機)および「おいくら」の成長加速などの売上成長により、25年6月期も含めて2期合計営業利益25億円を稼ぐ収益構造を構築するとしている。

 なお24年6月期売上高計画の内訳は、ネット型リユース事業137億44百万円(個人向けリユース100億円、マシナリー30億円、おいくら7億44百万円)、メディア事業8億円、モバイル通信事業55億円としている。

 さらに25年6月期以降は、リユースの継続的成長に加えて、「おいくら」およびモバイルのストック収益を中心に持続的な収益拡大を目指すとしている。

■22年6月期は成長戦略再構築で赤字予想

 21年6月期連結業績は、売上高が20年6月期比0.3%減の108億75百万円、営業利益が91.7%減の54百万円、経常利益が95.1%減の32百万円、親会社株主帰属当期純利益が40百万円の赤字(20年6月期は2億91百万円の黒字)だった。

 ネット型リユースは売上高が1.8%減の65億80百万円、営業利益が2.4%減の5億34百万円だった。個人向けリユースは広告宣伝の効率化などで収益性が改善し、農機具も越境ECの増加で大幅増収だったが、「おいくら」において加盟店減少に伴って固定報酬が減少した。農機具分野や「おいくら」の収益拡大に向けた先行投資も影響して減益だった。

 メディアは売上高が25.5%減の5億19百万円、営業利益が51.9%減の2億31百万円だった。収益性の高いキーワードにおける検索順位が低位にとどまったため送客収入が減少した。体制強化に向けた人員拡充も影響して減益だった。

 モバイルは売上高が0.2%減の38億66百万円、営業利益が64.7%減の1億37百万円だった。保有回線数の増加で通信料収入が増加したが、通信市場における競争激化や自社通信メディアからの送客数減少などで新規回線契約獲得が減少したため販売奨励金収入が減少した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高28億70百万円で営業利益1億63百万円、第2四半期は売上高27億58百万円で営業利益42百万円、第3四半期は売上高24億91百万円で営業利益1億07百万円の赤字、第4四半期は売上高27億56百万円で営業利益44百万円の赤字だった。

 22年6月期の連結業績予想は、売上高が21年6月期比10.3%増の120億円で、営業利益が4億円の赤字(21年6月期は54百万円の黒字)、経常利益が4億05百万円の赤字(同32百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が4億40百万円の赤字(同40百万円の赤字)としている。

 中期経営計画の最終年度24年6月期目標値の売上高200億円、営業利益12億円の達成に向けて、22年6月期は成長戦略再構築のステージと位置付けて赤字予想としている。積極的な事業展開で中期的に収益回復を期待したい。

■株価は底打ち感

 株価(21年2月16日付で東証マザーズから東証1部に市場変更)は年初来安値を更新する展開だったが底打ち感を強めている。出直りを期待したい。8月31日の終値は824円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS271円50銭で算出)は約3.0倍、時価総額は約44億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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