テンポイノベーションは戻り試す、22年3月期1Q大幅増収増益で通期上振れの可能性

2021年8月25日 08:46

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 テンポイノベーション<3484>(東1)は、飲食業を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を展開している。転貸借物件数の増加に伴って賃料収益を積み上げるストック型ビジネスモデルである。22年3月期は転貸借物件数・成約件数の増加で増収増益予想としている。第1四半期は成約件数が回復して大幅増収増益だった。通期予想は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は調整一巡してモミ合いから上放れの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■飲食業の出店希望者向け居抜き店舗転貸借事業

 首都圏の一都三県(特に東京都)において、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を展開している。

 店舗転貸借事業は、仲介ではなく、サブリースでもなく、不動産業における第6のカテゴリーと位置付けている。不動産オーナーにとっては賃貸料収入の安定、不動産会社にとっては仲介収益機会の獲得、店舗出店者にとっては出店費用の削減、店舗撤退者にとっては閉店コストの削減というメリットがある。また飲食業は他の産業との比較で、開業・廃業による入れ替わりが激しいため、市場機会が豊富という特徴もある。

 保有物件数(転貸借物件数)の増加に伴って賃料収益(ランニング収入)を積み上げるストック型ビジネスモデルである。21年3月期末時点の転貸借物件数は20年3月期末比22件増加の1706件だった。不動産売買事業は、不動産業者との関係強化も目的として、一定の保有枠の中で資金効率を重視して売買を行う。

 なおクロップス<9428>の連結子会社だが、営業上の取引はなく経営上の独立性を確保している。またCSR活動の一環として、飲食店舗を活用した子ども食堂を開催している。20年4月~21年3月の開催実績は、参加店舗が20店舗、総開催数が68回、総来店数が326人だった。

■転貸借物件数29年3月期5500件目標

 中期経営計画の目標値は24年3月期売上高141億74百万円、営業利益10億77百万円、成約数520件、転貸借物件数2451件としている。転貸借物件数の長期的な目標は29年3月期5500件としている。

 成長に向けた基本方針は転貸借契約件数と賃料差益の最大化、テーマは専門特化・プロフェッショナル化としている。主要施策として営業採用の積極化、居抜き物件・店舗情報サイト「居抜き店舗.com」における物件紹介強化、従業員ロイヤリティの向上を推進する。

 居抜き物件・店舗情報サイト「居抜き店舗.com」をリニューアルし、コロナ禍を出店チャンスとみる飲食店経営者のニーズを捉えるWEBサイトに進化した。そして新規会員数が大幅増加(21年3月期は20年3月期比70.4%増)している。

■22年3月期増収増益予想、1Q大幅増収増益で通期上振れの可能性

 22年3月期業績(非連結)予想は、売上高が21年3月期比9.6%増の113億34百万円、営業利益が11.3%増の8億14百万円、経常利益が3.4%増の8億70百万円、当期純利益が3.4%増の5億95百万円としている。営業外収益では助成金収入の減少などを見込んでいる。配当予想は未定としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比14.1%増の27億43百万円、営業利益が2.2倍の2億23百万円、経常利益が2.1倍の2億34百万円、四半期純利益が2.2倍の1億59百万円だった。

 大幅増収増益だった。新型コロナ禍でも転貸借物件数を順調に積み上げ、成約件数が回復した。不動産売買事業における物件売却も寄与した。売上総利益率は2.5ポイント上昇した。

 店舗転貸借事業は2.4%増収で79.7%増益だった。第1四半期末の転貸借物件数は1756件で前年第1四半期末の1689件に対して67件増加した。成約件数は95件(4月35件、5月26件、6月34件)で、内訳は新規契約59件、後継契約36件、解約9件だった。前年同期の成約件数43件から大幅に回復してイニシャル収入が増加し、ランニング収入も増加基調となった。不動産売買事業では1物件を売却、2物件を取得し、第1四半期末時点の保有物件は3件となった。

 通期予想は据え置いた。新型コロナ影響で飲食業界の厳しい状況が継続するが、コロナ禍を出店チャンスとみる飲食店経営者も多いため、飲食店経営者のニーズの変化に合致した店舗物件の仕入を推進し、転貸借物件数・成約件数の増加で増収増益予想としている。期末転貸借物件数は210件増加の1916件、成約件数は106件増加の420件の計画としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.2%、営業利益27.5%、経常利益26.9%と順調だった。新型コロナ禍で平常時よりも優良店舗物件を仕入れる機会が増加する可能性もあるとしている。成約件数の回復でランニング収入の増加も予想されることを勘案すれば、通期予想は上振れの可能性が高いだろう。

■株主優待制度は毎年3月末300株以上・1年以上継続保有株主が対象

 株主優待制度(20年8月に変更)は、毎年3月末時点で300株以上・1年以上継続保有株主を対象として、お食事券ジェフグルメカード5000円分を贈呈(詳細は会社HP参照)する。21年3月末対象から運用開始した。

■株価は戻り試す

 なお8月5日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)によって取得した自己株式15万株を、8月17日付で消却した。

 株価は調整一巡してモミ合いから上放れの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。8月24日の終値は910円、今期予想PER(会社予想のEPS33円39銭で算出)は約27倍、前期実績PBR(前期実績のBPS166円14銭で算出)は約5.5倍、時価総額は約161億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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