コロナ感染時の呼吸障害を察知する、パルスオキシメータの一考察

2021年8月25日 15:50

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コニカミノルタのパルスオキシメータ「PULSOX-Lite」(画像: コニカミノルタの発表資料より)

コニカミノルタのパルスオキシメータ「PULSOX-Lite」(画像: コニカミノルタの発表資料より)[写真拡大]

 新型コロナウイルス感染で「呼吸不全」症状が発生するケースが起こりうることから、俄かに「パルスオキシメータ」と呼ばれる医療器具が注目されている。22日付けの日刊工業新聞Web版は、『足りない!コロナで需要高まり20倍増産でも追いつかず』の見出しで供給不足の現状を伝えている。

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 私が初めて存在を知ったのは、一昨年半ばの人生初入院の際だった。1日に3回、看護師が回ってきて「血圧測定」「腹部の聴診器検診(腸ねん転の疑いで入院したため)」、そして指先を挟み込むような器具での「計測」が繰り返された。

 指を挟み込む器具を「それはなに、なにをチェックするもの」と問うた。「パルスオキシメータ」という計測器で「血中の酸素濃度を測る」と聞かされた。「なんで計測するの」と尋ねると、「千葉さんは肺気腫という障害でリハビリを受けたことがあるから・・・、まあ肺の状態をチェックするためね」と言われた。未だ、新型コロナウイルス禍が大騒動になる前である。

 最近、パルスオキシメータが問沙汰されるようになり調べてみた。資料を何種類も何回も読んだが科学的には、未だ十二分には理解しえていない。

 「新型コロナウイルスに、呼吸困難を感じさせる体内センサー(頸動脈小体)が感染しやすい。センサー機能が落ちると呼吸困難に陥りやすい。肺で取り込んだ酸素は肺に流れ込んでくる血液中のヘモグロビンとくっついて肺に戻り、全身に運ばれる。ヘモグロビンのうち何%が酸素と結合しているか(動脈血酸素飽和度:SpO2)を計る機器」だという。「基礎疾患がない人の場合、安静時で95%~99%水準」ならOK。93%水準に下がると「?」、90%を切ると「大事」と指摘されたりするが一概に決めつけるのは「×」。

 ちなみにかつての入院時に計測した看護師が繰り返した「まあまあね」が何%だったかは知らない。かかりつけ医に「どう捉えたらよいのか」と聞いた。返ってきたのは、「例えて言えば、血圧と同じように考えておけばよい。医者に来た時だけでなく、日頃定期的・継続的に記録をとり、数値にバラツキが起こるなど、妙な動きだと思ったら医者に相談するべき」だった。

 ところで、このパルスオキシメータは「日本」発の医療器具だと知った。改めて調べてみて、こんな説明に出会った。医療機器の開発・製販を手掛ける日本光電工業の青柳卓雄氏という技術者がパルスオキシメータの原理を発見した。

 早々にこそ商品化は図られなかったが、1974年3月に特許が出願され「取得したのが入り口となった」(IR担当者)という。そして前記の様な指先を挟むようなパルスオキシメータはコニカミノルタが「1974年4月に特許を出願・取得。1977年に、世界で初めて発売した」(広報担当者)。斯界に明るいアナリストは「両社とも長らく研究開発を続けていた。特許申請・認可はいわばタッチの差」とした。

 いずれにしても日本で開発され、とりわけ今の時代に求められているパルスオキシメータだが市販もされている。アマゾンを覗いたら、決して安くはない。が・・・購入して朝昼晩と計測することを習慣にし、「?」と思ったら医者にいって相談しようという気持ちに傾いている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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