カンヌ脚本賞『ドライブ・マイ・カー』、ポン・ジュノや黒沢清らがコメント

2021年8月11日 07:33

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 ©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会[写真拡大]

 8月20日に迫った『ドライブ・マイ・カー』の公開を前に、著名人からのコメントが次々に到着している。同作は濱口竜介監督の最新作であり、第74回カンヌ国際映画祭では脚本賞に輝いた。

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 『パラサイト 半地下の家族』で知られる映画監督のポン・ジュノは、濱口竜介を「最近の日本やアジアにおいて、非常に稀有な監督」と称賛。『スパイの妻』の黒沢清監督も、「こんな自動車映画いまだかつて見たことがない」との声を寄せた。

●作品づくりに対する独自の姿勢

 『ドライブ・マイ・カー』は、『ハッピー・アワー』(2015年)や『寝ても覚めても』(2018年)で知られる濱口竜介監督の最新作。今年7月に開催されたカンヌ国際映画祭では、脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞の計4部門を受賞した。

 濱口監督といえば、役者の演技に対して独自のアプローチを試みることで知られている。

 上映時間5時間の大作『ハッピーアワー』は、神戸のワークショップに集まった演技未経験の女性をメインに据えた作品だった。あらかじめカットや構図を決めるのではなく、リハーサルを通して徐々に演出を練り上げていく手法は、完成した作品に高い緊張感を与えている。

 次作『寝ても覚めても』では、まだ本格的な演技経験がなかったモデル・唐田えりかをヒロインに抜擢。やはり緻密な演技指導によって、恋心が揺れ動く瞬間を見事にすくい取ってみせた。

 これら一連の作品を通して、濱口監督のスタイルはますます洗練されつつある。本作ではヒロインとなる寡黙な運転手・みさき役に若手女優の三浦透子を起用。彼女がどのような演技を見せてくれるのか、公開への期待は高まるばかりだ。

●新たな「自動車映画」の誕生

 注目すべきは三浦透子の演技だけではない。本作を「自動車映画」と評した黒沢清監督の言葉に従えば、劇中に登場する赤いサーブ・900もまた、キャストと同様に重要な役割を担うだろう。

 若者を中心に「クルマ離れ」が進む今日、こうして自動車がフィーチャーされた映画も珍しい。もちろん公開中の『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』のようなカーアクションも存在するが、純粋なロードムービーとなると数が限られてくる。

 広く知られた名作でいえば、きっと『テルマ&ルイーズ』(1991年)のフォードや『グリーンブック』(2018年)のキャデラックなどが候補に入ってくるはずだ。いずれの車種もアメリカの時代性を象徴するものとして、映画史に強烈な存在感を放っている。

 果たして『ドライブ・マイ・カー』の赤いサーブは、どのようなメッセージを伝えてくれるのだろうか。きっと濱口監督のことだ。単にノスタルジーを誘うものではなく、幾重にも仕掛けが施されているに違いない。

 『ドライブ・マイ・カー』の公開日は8月20日(金)。若き巨匠の新作を、ぜひ劇場で見届けてほしい。(記事:村松泰聖・記事一覧を見る

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