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日本は2025年の崖を克服できるか?
●年間最大12兆円の損失も!?
日本企業が市場で勝ち抜くためには、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進が不可欠であり、推進が遅れれば、業務の効率面だけでなく、国際的な競争力低下も避けられないと言われている。
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経済産業省のレポートによると、DXの推進が遅れると、2025年以降年間で最大12兆円の経済損失が発生すると予測されている。
同レポートでは、日本企業が「爆発的に増加するデータを処理できず、デジタル競争の敗者になる」や、「IT人材の不足」「業務基盤そのものの維持・継承が困難になる」など、レガシーシステムが続くことの弊害を指摘している。
最近になって叫ばれ始めたDXの推進は進むのか?
●2025年の崖
2025年の崖は、経済産業省が2018年に発表したDXレポートに初めて登場した。
約8割の企業が老朽システムに頭を抱えており、約7割の企業はそれがDXの足かせになっていると回答し、喫緊の課題である。
2025年までに、IT人材の引退やソフトウエアのサポート終了などがリスクとして顕在化することが危惧されている。
●2025年の崖を乗り越えるためには?
2020年のコロナ禍で、人と人との接触を減らす意味でも省人化・テレワークや紙の書類・ハンコ文化の廃止、キャッシュレス・デジタル決済なども注目された。
コロナ後も生活スタイルの変化が一気に進むことも期待されている。
ただ、DXは大企業だけのことでなく、中小企業や個人事業主、消費者も含まれている。
大企業に加えて、日本企業の約99.7%を占める中小企業が長年続いてきた既存の体制を見直し、DXを推進することは容易ではない。特に資金力や人材に乏しい中小企業にとってハードルは高い。
DXを実現すれば、2030年には実質GDPを130兆円押し上げるという試算もあり、インセンティブを与える仕組みの充実も今後の課題となるだろう。
DXを投資のチャンスのとして捉えるか、損をしたくないから導入するかで、その企業の今後も大きく変わる。DXは単にIT化やコスト削減ではないということも浸透しなければ、なかなか前に進まないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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