テーパリングの市場期待は根強いか  住信SBIネット銀行(馬渕磨理子)

2021年6月7日 19:09

印刷

記事提供元:フィスコ


*19:09JST テーパリングの市場期待は根強いか  住信SBIネット銀行(馬渕磨理子)
皆さん、こんにちは。フィスコ企業リサーチレポーター馬渕磨理子です。まずは、先週のマーケットを振り返ってみましょう。

ドル・円は、伸び悩みとなりました。6月3日発表の5月ADP雇用統計(民間雇用者数)の伸びは市場予想を大幅に上回ったことからドル買い・円売りが活発となり、ドル・円は一時110円台前半まで一段高となりました。しかし、4日発表の5月雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったことから、金融緩和策の早期縮小観測は後退し、ドル・円は109円台前半まで反落しました。


ユーロ・円は伸び悩みました。先週に続いてユーロ圏と日本の経済成長格差を意識したユーロ買い・円売りが観測されており、6月1日に134円13銭までユーロ高・円安に振れました。しかしながら、米国の雇用関連指標の改善を受けてユーロ買い・米ドル売りは縮小し、この影響で週後半のユーロ・円は主に133円台で推移しました。

さて、今週のマーケットはどうなるのか?チェックすべきポイントについて住信SBIネット銀行の「ウィークリーレポート」を見てまいりましょう。

ドル・円は『伸び悩み』を予想しています。米連邦準備制度理事会(FRB)は大規模な金融緩和策を長期間維持する方針を変えていないようです。ただ、『米国経済の正常化によってインフレ進行の可能性は高まっており、雇用情勢も改善しつつあることから、資産買入れ規模の段階的縮小(テーパリング)に対する市場の期待は根強い』と述べています。また、『欧州中央銀行(ECB)は現行の金融緩和策を長期間維持する可能性が高いことから、ユーロ買い・米ドル売りがただちに拡大する可能性は低いとみられており、ドル・円の取引にも影響を与えそうだ』と分析しています。日本での緊急事態宣言の期限延長を受けて『日本経済の停滞によるリスク回避的なドル買い・円売りも観測されており、ドル・円は心理的な節目である110円を一時的に突破したものの、米長期金利の低下を受けてドル買いは縮小した』と述べています。

ユーロ・円については『底堅い値動き』を予想しています。『欧州中央銀行(ECB)は現行の金融緩和策を長期間維持する公算だが、ユーロ圏経済の穏やかな回復への期待が広がっている。日本とユーロ圏の経済成長格差は存続しており、域内経済の正常化をにらんだユーロ買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる』と分析しています。

ポンド・円は『下げ渋り』を予想しています。新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなか、『4月の国内総生産、4月鉱工業生産などの主要経済指標が堅調な内容なら、国内経済の早期正常化観測からポンド買いに振れやすい展開』と述べています。ただ、『新型コロナウイルスの感染流行が終息に向かう確証を得ていないことから、新規感染者数が増加した場合、ポンド買いは縮小する可能性がある』と予想しています。

今週の豪ドル・円は『もみ合い』を予想しています。豪準備銀行(中央銀行)は前週の理事会で、利上げ時期見通しの修正(前倒し)はせず、『7月に検討する債券購入(1000億豪ドル規模の資産購入プログラム第2弾が9月に終了)の行方に関するヒントも示さなかったことから、豪ドルは買いづらい』と述べています。ケント総裁補の講演が注目されます。一方、『世界景気回復期待にともなう資源価格の先高思惑がある程度下支えか』と言及しています。

参考にしてみてくださいね。

上記の詳細コメントは、住信SBIネット銀行サイト内の「ウィークリーレポート」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。

フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子《FA》

関連記事