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地球に最も近い球状星団NGC6544の化学特性を評価 APOGEEプロジェクト
球状星団といえば、宇宙誕生直後に生まれた古い星たちの集団というイメージが強い。また宇宙に無数にある銀河の中にまんべんなく分布しているため、人類は銀河系の構造を知るためのよりどころとしている。球状星団を研究することで、銀河の形成履歴と進化をよりよく理解するのに役立つ可能性があるとも考えられている。
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1930年代ころまでは、太陽系は銀河系のほぼ中心に位置すると考えられてきた。だが地球から観測できる球状星団の数には、眺める方向によって偏りがあることから、太陽系は銀河系の中心にあるのではなく、銀河系の中心から2万6千光年も離れた場所にあることが明らかになってきたという逸話もある。
今回取り上げるNGC6544は、いて座の干潟星雲のすぐ近くに7等星級の明るさで輝き、口径10cm以上の望遠鏡で100倍以上の倍率により星粒に分解して見え、地球からの距離は8150光年と地球に最も近いとされる球状星団の1つに数えられる。
銀河系の広域研究を担う国際プロジェクトAPOGEE(Apache Point Observatory Galactic Evolution Experiment)は4月中旬、科学論文サイトarXiv(アーカイブ)に、球状星団NGC6544に存在する23個の恒星の化学特性評価結果に関する論文を公開した。
この23個の恒星は、APOGEEの過去の観測により、NGC6544の中でも鉄と水素の存在比で他の星たちとは異なる、際立った特徴を持つものとしてピックアップされたものだ。だが今回それらを詳細に分析してみると、酸素や炭素、窒素、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、カリウム、カルシウムの存在量(論文では鉄との存在比で示されている)は広範囲に分布しており、しかも、鉄と水素の存在比との相関もなく、それらのうちの14個は第2世代の恒星であることが判明した。
今回の調査では、残念ながら重力による潮汐効果の影響を見出せるようなデータは得られず、その目的を成就させるには、より広範囲の恒星をピックアップし、化学特性について調査する必要があることが判明した。
100億年以上昔に起きたドラマを推理するのだから、そんなに簡単にいかないことは凡人にも察しが付く。だがこの夏は、オリオン座の大星雲と並んで、初心者にも非常に観察がしやすい干潟星雲や、今回話題に上ったNGC6544を眺め、宇宙の神秘に触れてみるのも一興ではないだろうか。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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