NYの視点:米小売、3月の高水準は持続不可能

2021年4月16日 07:35

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記事提供元:フィスコ


*07:35JST NYの視点:米小売、3月の高水準は持続不可能
米商務省が発表した3月小売売上高は前月比+9.8%と、2月-2.7%からプラスに改善した。。伸びは予想の2倍近くとなり、過去最大の伸びを記録した昨年5月来で最大となった。パンデミックで激しく落ち込んだ昨年3月に比べ+27.7%。ワクチンの普及が奏功し、経済活動の再開に伴いバーやレストランでの売り上げは前月比+13.4%。スポーツ用品:+23.5%、衣服・アクセサリー:+18.3%、自動車・自動車販売:+15.1%だった。変動の激しい自動車を除いた小売も前月比+8.4%と、2月-2.5%からプラスに改善し、予想を上回った。

経済活動の再開が進んだことに加えて、期待されていたとおり、政府の国民への直接資金供給や中小企業支援を含めた経済対策が大きく貢献した。支給された現金の用途では、41.6%が貯蓄、24.7%が消費。2020年春の第1弾経済支援策では、34.5%が貯蓄、29.2%が消費に充てられた。

一方、国内総生産に使用されるコントロールグループと呼ばれる自動車・建材・給油・食品を除いたコアの小売りは、前月比+6.9%と、2月の-3.4%からプラスに転じたものの予想の+7.2%には達しなかった。

一度きりの直接資金供給が奏功した10%近くの小売りの伸びを今後も、持続的に維持することは困難。引き続きワクチン普及で経済活動の再開が進み、経済がパンデミック前の状況に回復する軌道にあるものの、今後の小売りは、緩やかな伸びに転じる可能性が強い。《FA》

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