銀河の卵であった可能性も 中間質量のブラックホール発見 メルボルン大

2021年3月31日 08:36

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 ブラックホールを質量の大きさで分類すると、2極化が起こっていることを知っているだろうか。宇宙に無数に存在している銀河の中心にある超巨大ブラックホールと、恒星の成れの果ての姿である比較的質量が小さいブラックホールの2極である。つまり、一言でブラックホールといえばこの2種類のうちのどれかに当てはまると従来は考えられてきた。

 だが、ネイチャーアストロノミー誌で3月29日に公開されたメルボルン大学の研究者たちによる研究論文では、この2種類のいずれにも属さない中間質量ブラックホールの存在が明らかにされたのだ。

 この中間質量ブラックホールが発見されたきっかけは、ガンマー線バーストの観測からであった。ガンマー線バーストとは、連星系を成す中性子星と中性子星、あるいは中性子星とブラックホール、またはブラックホールとブラックホールが合体する際に生じる、ごく短時間の非常に高エネルギーを伴う閃光現象を指す。この現象が起きた場所と地球との間にブラックホールが存在すると、それが重力レンズの役目を果たし、閃光現象が2度観測されるのだ。

 最初の閃光は重力レンズによって経路が曲げられないで地球に到達したもので、それに少し遅れて重力レンズによって経路が曲げられた閃光が地球に届く。この時間差を調べれば、重力レンズの役目を果たしたブラックホールの位置と質量が求められるというわけだ。

 今回見つかったブラックホールの質量は、太陽の5万5千倍にも及ぶという。これは銀河の中心に鎮座する超巨大ブラックホールと比べるとはるかに小さいが、恒星の成れの果てにしては質量が大きすぎるため、中間質量ブラックホールに位置付けられたのだ。

 中間質量ブラックホールは、この宇宙で銀河が誕生する前の時代にあった古代宇宙の遺物かもしれないという。そしてこれが何らかのプロセスで大質量のブラックホールに成長して、やがて銀河を身にまとうようになったのかもしれないのだ。

 さらに驚くべきことに、このレベルの質量の中間質量ブラックホールは、私たちの銀河系の中心部付近に約4万6千個も存在する可能性があると研究者らは主張している。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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