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楽天の契約者が300万人突破、日本郵便と資本提携も 確実に変化している携帯業界!
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20年12月から本格化した携帯電話料金の値下げは、NTTドコモとソフトバンク、KDDIグループに楽天がもつれ合うように進んでいる。
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先手を切ったNTTドコモは12月3日、「ahamo」プランを20GBと1回5分の通話かけ放題が、セットで月額2980円(現在:税込2970円)という価格で先陣を切った。今まで掛け声倒れの様相が続いていた携帯料金の値下げが、NTTドコモの本気で一気にヒートアップした。同月22日にはソフトバンクが「SoftBank on LINE(当時)」でNTTドコモに追随し、1月13日にはKDDIが通話のかけ放題を外して月額2480円というpovoを発表して続いた。
20年3月にデータ通信量上限なしで月額2980円という金額を設定し、1年間無料を駄目押しにして気を吐いた楽天だったが、基地局の設置が計画通りに進んでいないことから、契約状況は期待を下回って低調に推移していた。
3大キャリアの反応も鈍かった。「力のない目立ちたがりのポッと出が、何をやってもタカが知れている」という感じで、真剣に自社の料金体系を見直す動きは見られなかった。NTTの完全子会社になったドコモが12月に動き出すまでの9カ月間、3大キャリアは楽天の動きを傍観していたようなものだ。基地局絶対数の不足が克服できずに通信品質への懸念が払拭できない楽天が、舐められていたと受け止められても仕方あるまい。
ところが、1月末にヘビーユーザーもライトユーザーも全て包括し、利用実績に応じて4階層で課金する新プランを発表したところ、それまでの約10カ月で200万人程度と見られていた契約申込者数が、1カ月少々で目標の300万人に到達したと9日に発表された。
新プランには、利用実績が1GB以下であれば使用料は無料だという目玉がある。仮に2台目に楽天モバイルを選択しても、使用を控えていれば負担がないという安心感がある。自分で使い勝手を確認しながら、納得して使用ウエイトを高めることも出来る。
通信品質に多少の不満があっても、個々のユーザーの許容範囲であれば、その後はメインのスマホに昇格する場合だってあるだろう。お試し期間(期限はない)が設けられたようなものだから、申し込みに抵抗がなくなったことは充分想像できる。
ダメを押したと見られるのが、12日に公表された日本郵政との資本提携だ。具体的な内容は今後詰められるようだが、日本全国に2万4000局という日本郵政のネットワークが、もし基地局や販売窓口に活用されるようになると、まさに起死回生の策になる可能性がある。
日本郵政自体が、不適切な保険販売の後遺症を抱えて今後の展望に苦しんでいることから、双方にとって願ってもない展開が開けたということだろう。
楽天と日本郵政の提携には、双方の取引先の年齢ギャップを補い合うという効用もある。比較的に年齢構成が若いと思われる楽天の客層と、どう見ても高齢層との取引が多いと思われる日本郵政の客層が、相互に補完し合ってどんな化学反応を見せるのか。今後の展開に注目だ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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