インフラに甚大な被害もたらす太陽コロナ質量流出の原因に迫る 米大学の研究

2021年3月8日 17:42

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 太陽コロナ質量流出(CME)はあまり聞きなれない言葉であるが、磁気嵐と聞けばピンと来る人も多いかもしれない。実は太陽コロナ質量流出は磁気嵐を起こす原因のひとつで、この現象が予期せぬタイミングで起きると、例えば宇宙空間を周回する有人衛星に甚大な被害をもたらすだけでなく、あらゆる地球上の電波通信網が大きな被害を受けることになる。

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 このような太陽の振る舞いによって影響を受ける地球周辺の宇宙空間のプラズマ・電磁場環境を、宇宙天気と呼ふ。また太陽において、地球に甚大な影響をもたらす事象の発生を予測し、警報を発する仕組みが米国を中心に展開されており、これを宇宙天気予報と呼ぶ。だが日本では、太陽の磁場が地球にもたらす甚大な影響については、あまり一般には認識されていない。

 一方で海外では、この宇宙天気が地球上で起きている大地震の原因になっている可能性があると、真剣に主張する科学者もおり、2011年の東日本大震災の発生も宇宙天気に起因していると主張する科学者もいるほどだ。

 ところで太陽コロナ質量流出とは、太陽フレアに伴う突発的な太陽の爆発現象で、その発生原因についてはこれまで明らかにされていない。それが解明されれば、宇宙天気の予測にも大きく貢献し、予期せぬ被害を未然に防ぐことにも役立つ。

 米国Science Advances誌で公表された米ジョージメイソン大学の研究者らによる最新の論文では、その原因に迫っている。

 太陽コロナ質量流出は、ARと呼ばれる太陽活動領域(太陽フレアなどが発生する、コロナ中の局所的な発光領域)で起こる。研究チームは、太陽環境下でイオン化しやすい元素(例えばSi)と、イオン化に対して中立的な元素(例えばS)の比を各ARにおいて測定することで、そのARの活動の激しさを特定できないか調査した結果、Si/Sの比が高いARほど活動が激しいことが判明したという。

 この研究は、宇宙天気を予測するための指標としてSi/Sを各ARにおいて測定し、その値の時系列歴な変化を追跡することで、太陽コロナ質量流出の発生規模や時期を精度よく予測できる可能性を示唆している。なお、ジョージメイソン大学の論文には、地上で起きる地震との相関については一切の言及はない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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