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地震のゆれが配管におよぼす影響(画像: 日本原子力研究開発機構の発表資料より)[写真拡大]
福島第一原発事故によって、原子炉の巨大地震に対する耐久性の評価を正確に行うことの必要性が強く再認識させられた。しかしこれまでの方法では、原発の老朽化や地震の大きさなどを総合的に考慮して評価することは不可能であった。
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日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、そのような課題に対処するために新たな手法となる解析コードの開発を行ってきたが、26日、老朽化した原子炉の配管が地震で破損する確率を求める解析コードを、世界で初めて公開したと発表した。
福島第一原発事故の教訓を受けて、地震などの外部要因に対する原子炉の安全性評価の厳格化が求められてきた。特に、原子炉の配管などは老朽化によって亀裂が発生している恐れがあり、地震によってさらに亀裂が大きくなる可能性もある。
老朽化に伴う配管の破損確率を求める解析コードはこれまでにも存在したが、老朽化と地震の大きさの両方による破損確率を求める解析コードはなかった。それらの背景から、原子力機構は配管の老朽化と地震の大きさの両方を考慮した破損確率を求める解析コードを開発した。
地震の大きさに対する破損確率の評価のために、設計の想定を超える巨大地震の評価が可能な実験装置を新たに整備。次に、その結果を従来の解析コードに組み込んで、老朽化の影響と合わせた評価を可能にした。
また、解析コードを用いた評価要領も世界に先駆けて整備されている。評価要領はリスク評価や破壊力学に関する外部の専門家の意見も反映されており、実用性の高い内容となっている。評価要領には評価手法やモデルに関する技術的根拠も取りまとめられている。
今回の研究成果によって、国内外の老朽化が進んだ原子炉のリスクをより現実的に評価することが可能になる。原子力機構は、解析コードを用いた原子炉の安全性リスクや保全活動による改善効果の定量評価などを進めていくとしている。
今回開発された解析コードは原子力機構の検索システム「PRODAS」を通じて入手が可能となっている。また、評価要領も原子力機構の論文検索システム「JOPSS」上で公開されている。
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