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テスラがビットコインを購入、決済手段としても導入を検討 どうなる仮想通貨!?
8日、米EV大手のテスラが米証券取引委員会(SEC)へ提出した有価証券報告書で、21年1月から現金運用方法を多様化するように投資方針を変更したことを明かした。象徴的なのは20年末に保有していた約194億ドルの現金等のうち、既に7.7%に当たる15億ドル(約1600億円)相当をビットコインに交換したことだ。
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テスラがビットコインを購入したと伝えられた同日、ビットコインは前日よりも15%近く上昇して、4万4800ドルの史上最高値を付けた。テスラは自社がビットコインを購入したと伝えられただけで、2億ドル超(約240億円)の含み益を得たことになる。この余波で他の暗号資産(仮想通貨)や関連銘柄もそろって大幅な上昇を見せた。
驚異的なのは、トヨタの時価総額を抜いたことが大きな話題を呼んだテスラの時価総額を、ビットコインが一時的であるにせよ上回ったことである。何ら裏付けがなく、当初「仮想通貨」として登場したビットコインが、確立した事業基盤を持つ世界有数のリアル企業が営々と積み上げて来た時価総額を、あっさりと上回ったのだ。
テスラは価格変動が激しくて耐用年数が確定できないビットコインを無形資産と分類し、取得後に市場価格が取得価格を下回った場合には、減損損失が発生する可能性を示唆している。逆に市場価格が上昇した場合には、保有価値の見直しを実施しないとの見方もあり、売却しない限り利益が計上されないという意味において、テスラの決算に大きな影響を与えることを懸念する向きもある。
テスラは販売代金の回収手段にビットコインを認める検討を進めているという。対象商品の仕切りや商品金額との割合、決済時期の決め方など、価値が激しく変動する仮想通貨の特性とどうやって折り合いを付けるのかが注目される。
10日にはマスターカードが公式ブログ上で、「デジタル資産が決済分野の重要なパーツ」になりつつあることを認め、「今年中にマスターカードのネットワーク上で仮想通貨に直接対応する」と発表したことが報じられた。ブログ上でマスターカードが連想する仮想通貨の具体的な名称については触れていないが、毀誉褒貶の中でトップランナーを務めて来たビットコインがイメージされるのは自然なことだろう。
テスラとマスターカードが仮想通貨への姿勢を転換することは、背景に米経済界全体が仮想通貨に対する認識を大きく変えつつある証だと言ってもいいだろう。仮想通貨が決済手段として社会に受け入れられるのか、近いうちに壮大なチャレンジが開始されそうだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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